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早めの決断

昨日だったか、なじみのお店で今年のしめくくりってことで、お客さんにお菓子をくれた。うさぎの模様のかわいい紙箱を帰って何気なく開けたら、東京のお店のお菓子で、私の好きなチョコレートコーティングの小さいクッキーで、それはもうおいしく、手が止まらないで次々かじってしまう。数個食べたところで、これじゃ食べあげるまでやめないと判断し、きっぱり箱をしめて、神棚がわりの冷蔵庫の上に飾ってしまった。お正月に食べてやる。ふっふふふ。

神棚の上の小さいトラと交代する小さなうさぎを、近所の文具店で買ってきた。しめ縄もめでたくくっつけ、お鏡餅もあっちこっち飾って、家中お鏡だらけになった。明日はおせちをつめて、お屠蘇を作って、冷蔵庫の中味を片づけないと。うー、まだ何かあったっけか。

いろいろやってたら、何だか飽いてきて、昼から近所の喫茶店に行って、ケーキセットを注文して、面白くないわけじゃないのだが、何だか分厚すぎて重厚すぎて数ヶ月ほったらかしてた『森の中に埋めた』というミステリを一気に読み上げてやった。なかなかに面白かった。ミステリだから中味はばらせないのだけど、ドイツの田舎町が舞台で、歴史や社会問題もみっちりじっくり織り込んであるとこが「八ツ墓村」なんかと、ちとちがう。偏見かもしれないが、ドイツ映画と共通する粘っこさが、癖になりそう。シリーズものらしいから、こりずに前作も読もうかな。さらさら読み飛ばせるラノベとちがって、長時間じわじわ時間つぶしを楽しめるから、逆にコスパはいいかもしれない(笑)。

あと、これも面白いからかえって一気に読めないで数年間放っている、カミュについての本を読み上げてしまったら、ちょっと今年の宿題を果たした気分になれるかな。しかし、もっと急を要する仕事もいろいろあるしなあ。

私は別に近くに幼稚園があって子どもの声が騒がしくても、そうそう怒って抗議はしないと思うけど、たどたどしい子どもの声を長時間ラジオで聞かされるのはきつい。だからNHKの日曜の子ども科学相談みたいな番組は苦手なのだが、なぜかしらん、つい聞いてしまう。この前の回で、「昆虫は脚が取れても痛みは感じないのか」という子どもの質問があった。学者の先生はていねいに「まだよくわからないけれど、まったく感じてないことはないのではないかという研究者の意見に今はなっている」と答えていた。

こういう話を聞くと私は、ベトナム戦争のときに虐殺しまくったベトナム人について「アジア人というのは、人の死をそんなに苦痛に思わない」とぬかしやがった米国の高官や、女は殴られても苦にならんという話を一生懸命して聞かせたタクシーの運転手や、動物は苦痛を感じるかという研究をしている研究の本のことを思い出して、心おだやかでなくなる。しかし、今回はその先生がつけ加えて、「このごろでは、そういう、痛みを感じるのではないかという可能性も考えて、カニを生きながらゆでるとか、魚の活き造りとかそういうのをやめようという動きも出てきている」と話したのには、驚いたし救われたし、人類の未来にもちょっとだけだが希望が持てた。

実は私はアサリやはまぐりのおつゆが大好きなのに、彼らが熱湯の中でぱかっと口を開くまでの気持ちを思うと、なかなか作る気になれないで、自分でも困っているのだが、あれも何とかならんもんだろうか。

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カツジ猫