明烏(あけがらす)。
◇田舎の家を片づけていたら乗っちゃって、夜中の2時過ぎに向こうを出発したもんですから、帰宅が今になりました。月がきれいで、ビルなんかない田舎の空は広く煙ったように明るく、「おぼろーにけむるーはるーのよをー、ついのーらくだはーとぼとぼと」などと歌いたくなるほどでした。それにしても「月の砂漠」の歌詞って、優雅で好きだけど、まるで中東の風景じゃないな、あっちこっち。
月が明るいのか、夜明けで明るいのかわからない中、さっき無事に帰って来て、家の近くで、今日はゴミ出し日なので、車に積んで来たゴミ袋を下ろし、所定の位置において網をかけてきました。ちなみに先週と今週私はこの網の回収係なんだけど、油断すると誰かがさっさと片づけてしまうので、まだ1度も片づけてないというお粗末。今日は車で回収車が来るまで張りこんでおこうかしらん。
もうこの時間だと、あたりは暗くても鳥の声がしています。途中のガソリンスタンドでセルフの給油をしていたら、電灯で明るい天井をスズメが飛び回って、ちゅんちゅくさえずっていました。そんでもって、家に着いて荷物を下ろしていたら、薄闇の中、カラスがお隣のアンテナに止まって、ぎゃおぎゃおうるさく鳴いていました。おお洒落本で言うところの「あけがらす」とは、このことかと思いながら、ふり向くと、家の前の木立の向こうにきらきら光る物体があって、何だろうと目をこらしたら、月が光っているのでした。外国の童話などによくある「金貨のようにまぶしく光る」という言い方そのものの輝き方でした。
迎えに出てきたカツジ猫を抱っこしてベッドに座ったら、うれしいのか、じっとしていて、下ろそうとしたらかみつきそうにするので、しばらく抱いてやっていました。今からいっしょに、ひと眠りします。
◇田舎の家は、ものすごいとっちらかりようですが、雑貨も本もだいたいどのくらいの量になりそうか、見当がついて来たような気がするので、案外一気に行けるのではないかと、虫のいい幻想に酔ってます。いろいろとなつかしい品物の置き場もだんだんと決まってきて、ちょっと安心しています。それにしても、自分で言うのも何ですが、こんなにハイテンションで片づけをしていると、突然ぶっ倒れないか心配。
私は「特技は人になめられることです」と自己紹介したりするほどで、よっぽど丈夫で能力が高いと思われてるのか(そうじゃなくて、相手が単に自分を中心に地球が回って、すべての人間は自分のしもべと思ってる勘違いのお姫様お殿様気分のアホにすぎないケースがほとんどでしょうが)、ものすごく過大な要求をされることがままあって、これまた私がそんなとき、ほっといたら相手がどこまでつけあがるのか見届けたくなるという、ほとんど学問的探究心にかられてしまうので、若かった昔はともかく、今は危険です。「あんたは、私が病人で貧しい老人だって、わかってないだろ、わかるまいとしてるだろ」と、ときどきぶちきれてるわりには、私自身がそのことを多分一番忘れてしまって自分を酷使してる。気をつけないといけません。