映画会での私の挨拶。
(昨日いやもう一昨日の映画会での私の挨拶です。夜の部の挨拶をした唐崎先生が穏やかで品格があったのにひきかえ、私の話はとっちらかってる上に過激ですねえ。あらためて文字にすると冷や汗ものです。まあいいや、何かのたしになさって下さい。)
皆さん、本日は暑い中、こんなに多くの方に来ていただいて、うれしいです。私は主催者の市民連合オールむなかたのメンバーの一人で、むなかた九条の会でも活動している板坂耀子と申します。
今日の映画は、小林多喜二の母セキを描いた、三浦綾子の小説「母」が原作です。読まれた方もおられると思います。とてもいい小説なのですが、映画はそれにいろいろ工夫して、また別のよさを生み出しています。たとえば、多喜二がつきあっていた伊藤ふじ子さんという女性は小説にはまったく出て来ませんが、映画では登場しています。また警察の拷問などの場面は、その残酷さを伝えながらも、ひどい描写はありません。苦しい時代を描いていても、優しい明るさがあって、子どもにも安心して見せられるほどです。
出演者のお一人の神田さち子さんが、このあとで、お話をして下さいます。短い場面でも、監督や俳優が、どれだけの心を、この映画にこめているか、感じていただけたらと思います。
資料の中にもありますが、私たちオールむなかたは、戦争法に反対する活動がきっかけで生まれた集まりです。
ご存じのように、九州北部で大きな被害を出した豪雨による災害に、安倍首相はご夫婦でヨーロッパ旅行をしていて、なかなか帰って来ませんでした。国会の審議で前川さんと会うのがいやだったとしか思えないのですが、その一方で首相は憲法を変えることを急いでいます。
オールむなかたでは、このような動きに対して、9月に憲法の勉強会をする予定です。
私は実は、勉強などしなくても、とにかく安倍首相のような人には、憲法でも町内会の規則でもPTAの規約でも触らせてはいけない、これだけで充分と思っていますが、まあそういうわけにも行きません。特に、自民党が最終的にめざしている憲法草案の内容は、本当にひどいものです。これも資料の中に猫の写真つきのリーフレットが入っているので、ごらん下さい。最初はどうでもいいような小さな変更からはじめても、安倍首相のめざす憲法の行きつく先は結局はここになるでしょう。
安倍内閣の支持率もようやく落ち始め、都議選では自民党は惨敗しました。これは共謀罪が決定された動きにも萎縮することなく、街頭で声を上げた多くの勇気ある人たちの力でした。けれど、今日の映画に描かれている悲劇を生み出した治安維持法と、そっくりだと言われる共謀罪はまだ存在しており、とても危険な状況です。
私たちは一刻も早く安倍政権を倒さなくてはなりませんが、本当はそれから先が大変だと思います。
ソ連が崩壊したり、ベルリンの壁がなくなったり、新しい時代が来て自由になったと思ったあとで、その時代を築いた人たちの中で分裂が起こり、悲惨な民族対立の戦争が起こりました。古くは、「ベルサイユのばら」で知られるフランス革命も、その後の対立や分裂の中で、再びナポレオンが皇帝となって独裁がはじまり、「レ・ミゼラブル」で描かれたように貧しい人々が苦しむ世の中に逆戻りします。
安倍政権が倒れ、私たちが望むような新しい政権が生まれても、私たちがそれを「お手並み拝見」のような顔で見ているだけでは、きっとまた、そういうことになるでしょう。私たちは、その政権を見守りチェックし育てなければいけません。投票に行くのはもちろん、政治について考え、話し合わなくてはなりません。
考えて、話し合えば、意見のちがいも出て来ます。けれど、戦争ではなく平和を望む私たちなら、意見のちがいがあればこそ、話し合って解決の道をさぐらなければいけません。国でも、町でも、職場でも、そうやって、私たちの手で、未来を作って行きましょう。
そのためにも、私たちのこのような催しに、どうぞこれからもおいで下さい。また、資料に入っている、どんな政党でも市民団体でも個人でもいいですから、つながって、連絡がとれるようにして、何かのかたちで参加していただけるとうれしいです。
それではどうぞ、映画をお楽しみ下さい。