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月並俳諧。

◇バルガス・リョサ「楽園への道」を、昨日ベッドにひっくり返って読み上げてしまった。最後の最後まですさまじい迫力で、生命力にあふれていた。同じゴーギャンを描いたモームの「月と六ペンス」をまた読みたくなる。

そして、あらためて、今の日本の小説が、村上春樹の「騎士団長殺し」などでさえ、軒並み何とお行儀がよくて、きれいで快くて、上品な通りのお洒落な店の、小さいケーキセットみたいに、口当たりがよく、読者を甘やかして無難なんだろうと痛感した。幕末の「月並俳諧」と悪口を言われた、あるいは儒教で言う「郷愿」みたいな、一見よくできているが、その実は最低の、平凡きわまる俗悪さが蔓延しているような、日本の現状に突然気づいて、何だか本屋に入ったら吐き気がしそうだ(笑)。いきなりこうなる私もいかんが、やっぱりこういう状況は、ひょっとして国民の政治離れや自己規制を生む温床になってるのではあるまいか。型にはまらない、人をふみにじる、自分を主張する生き方が、まんま「悪」と断罪される雰囲気を、文学や芸術が先んじて作りだしているようで、マスコミを批判してる場合じゃないのかもしれない。

◇このブログを見ていて、猫が飼いたくなったというお便りをいただいた。あらまあ、飼ってほしいなあと思う一方で、猫でも犬でも、多分亀でもハムスターでも、一匹ずつもろ性格がちがうので、ひょっとものすごく相性が悪いのに当たったら結婚生活以上に(笑)おたがいに不幸だからなあと思ったりもする。
たまたま、そこそこでも性格の合う動物と巡り合えたら、この世の天国だろうが、まったく性の合わない相手だと、もちろん捨てるわけには行かないから、きつい。
猫が嫌い犬が嫌い動物が嫌いという人の、かなりの部分は、相性の悪い個体とめぐりあってしまったからではないかと思う。虐待してしまう人でさえ。もし、気の合った相手とめぐりあっていたら、ものすごい猫好き犬好きになってたのではないか。
かと言って、複数飼うと、ものすごく好きなのをえこひいきしたくなるし、本当に結婚や子育てみたいなものなんじゃないかしらん。

それを言うなら本もそうだ。本を読むのが苦手と言う人は、ただまだ自分の好きな本とめぐりあってないからじゃないかと思うことがよくある。

◇ゆうべはうすら寒かったのに、カツジ猫はクローゼットの中のクッションの上に私がのせてやった毛布が気に入ったらしく、ずっとそこで丸くなっていて、今も寝ている。ワクチンを打ったあとだし、具合が悪いんじゃないだろうなと見に行ったけど、そういう風でもなさそうだ。そう言えばこいつも、飼い主との相性は難しい猫かもしれないな。見てくれはそこそこいいし、飼いやすい猫ではあるけれど、この覇気のなさと神経質さと、どこか不幸そうな負のオーラは、嫌いな人はほんとだめだろう。癖になる人は、とことんはまるだろうけれど(笑)。

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カツジ猫