月夜の巨木
◎ゆきうさぎさん
昨夜はこちらも台風のせいか、風が強く、私とカツジのベッドのそばの窓から見える大きな木がざわざわと波打ってゆれていました。風が雲を吹き飛ばすのか、折からの満月はきれいに出ていて、その月光の中で木の動くのがよく見えました。
シナモン猫のもう片方の歯が痛くなったようで、また手術をして抜いてもらいました。それで昨夜はいっしょに寝てやったのですが、カツジ猫は下の家の庭で淋しがって、うみゃうみゃ鳴いていました。
朝、行ってみると、また猫庭の敷石の上に抗議のうんちがしてあって、それはすぐ片づけられるからかまわないのですが、だんだん勝手口に近い敷石に移動してきているのが、何だか無気味だなあ。(笑)
シャーロック・ホームズの「緋色の研究」の中に、犯人がつけねらう相手の家の近くに目印を残して、それが次第に近づいてくるというのがあったのを思い出してしまう。
◎非常勤の授業が先週終わって、今日は試験でした。レポート提出でもいいと言っていたため、ほぼ全員がレポートを出しに来ました。
それはまあいいんですが、今日出せない人のために来週もレポートを受け付けることにしていて、ただし今日出した人については、その時に「不可」だった場合のみは聞きに来たら教えて、再提出を認めると言っておきました。
かねがね、不可にした理由がわからないのでは気の毒だと思っていたので、わりと毎回私はこの方式をとります。つまり「試験日(レポート提出日)より一週間早く出した場合に限り、不可かどうかだけは教えて、再提出の機会を与える」ということですね。
こういう方法をどうするかは、先生の裁量にまかされています。だから先生によって対応のしかたはちがいます。
それもあるだろうし、私の説明のしかたというか、その趣旨がよく理解できていなかったのかもしれませんが、先週の毎週出してもらう小レポートで「試験の結果を聞きに来れないので、メールか電話かしてもらえますか」と書いてきた学生がいたのには少々驚きました。
だいたい「試験に関する質問は、今日の小レポートに書いても来週しか答えられないし、それでは間に合わないから、今、口頭で質問して下さい」と言っていたのに、直接聞いて来なかったのは、やはりちょっとおかしい発想かもしれないと自分でも思ったからなのかもしれない、などと希望的観測をしていたら、今日はもう一名ふえていました。提出したレポートに「不可なら、このメールアドレスに連絡して下さい」と書いてありましたよ。いやもう、そこまで言うならいっそ、授業を欠席した時に内容をメールで送って下さいと申し出たらどうか、とか言ったら、本当にそういう要求が出てくるかもしれないから、やめておくけれど。
笑っていいのか真剣に怒っていいのか迷いますが、とにかくこの次からは、この方式は廃止するしかなさそうですね。幸いなことに、レポートそのものは、全員わりときちんと出来ていましたから、多分もうそろそろ、こんな気遣いはしなくても大丈夫そうですし。
私は先日、あるエッセイで童話の「さかなよ、さかな」について書いて、その最後に「人間は、どこまでもつけあがる」と、しょうもない教訓を書いたのですが、まったく、あの童話に限らず、童話というのは不滅の真理を告げていますね。思いがけない、非常識なまでの親切やサービスを受けると、常識と非常識がぶっとんでしまうのでしょうか。
自分にもそんな部分はないか、あらためて考えてみることにします。