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朝顔救出作戦。

◇今日は家の片づけに人が来て下さることになっていたけど、昨日が変にむし暑くて私がバテてしまい、料理じゃないけど、片づけの下ごしらえができなくて(笑)、またの機会にとお断りしました。
今朝は涼しいし、昼からは雨だとかいうので、少し元気が出て、庭の草取りならぬ草つまみなどちょっとしてみたけど、また何だかじわじわ暑くなって来てるなあ。

上の家の灰色猫のグレイスと白黒猫のマキは、寝床の毛布やタオルをきれいにとっかえてやったので、非常にごきげんで寝ています。マキは、だんだん私の顔を見ても逃げなくなり、しゃああと怒りながらごはんの催促をするようになりました。眠っている時にはちょっとさわれることもあります。

◇サルスベリの花が終わったら、伸び放題の山椒ともども、つんつんに刈りこんでやろうと手ぐすね引いてるんですが、ちっとも花が終わらない。ピンクのたいまつのように、庭中に広がっています。「白いのもあるみたいですよ」と、お隣のご主人が教えてくれましたが、それだと涼しいだろうけどなあ。

とか言ってたら、例年咲く彼岸花が、もうしゃっきりとまっすぐな茎を何本も伸ばしはじめました。本当に律儀に季節を守るよなあ。
鉢に植えっぱなしで、もう枯れたかと思っていたシクラメンたちも、次第に水を吸いはじめたと思ったら、新しい葉っぱや花をつけ始めました。もっと大きな鉢に植え替えてやりたいんだけど、そうするともう、置き場所がないんだよ。どうしたらいいのかしら。

◇お隣の境の柵に這わせているジャスミンとふうせんかずらと朝顔の混合軍隊、今年は朝顔があまり芽を出さなかったので、スーパーの苗売り場で、処分価格で大安売りされている朝顔の苗をいくつか買ってきて、空いた鉢に植えておいたら、けっこうつるが伸びて、赤紫の小さめの花をいくつもつけてくれました。
そうなると、ついスーパーの前に枯れかけて、つるもからまりあって、ぐしゃぐしゃに置かれている残りの朝顔も救出してやりたくなり、行くたびにひとつ二つと買っていましたが、どれもこれも同じ赤紫。いい色ではあるんですが、たとえば白いのとかが混じっているときれいなのになあと思っていたら、数日前に見た最後の二つの鉢が白だと書いてありました。もう、つるも短く刈りこまれてしおれかけていたけど、値段はあんまり変わってないのな。スーパーもやるぜ。

一応買ってきて植えてみました。枯れてはいないようですが、まだ花は咲きません。そう言えば夕顔の鉢も二つぐらい残っていたな。ついでにあれも買っとくか。

◇昨日書いた「禁じられた恋の島」のカッコいいおやじさん、一応名前を見とこうと思って検索したら、昔の映画過ぎて、どの俳優もろくすっぽ資料がない。やっと見つけたらレジナルド何とかって人だったんですが、出演作品で画像が上がってるのが「太陽の下の10万ドル」とあって、ええっと飛び上がりました。これって私が大昔に見て、ものすごく気に入って、一人でもうただほんの自分の楽しみのためだけに、ノベライズしかけた映画じゃないか。

高校か中学のころかと思ったけど公開年を見たら1964年だから、ぎりぎり大学に入ったころかな。じゃ多分だけど、もうとっくになくなった、福岡は天神の新天町の朝日会館の豪勢な劇場のでっかいスクリーンで見たんじゃないだろうか。

モノクロで、アルジェリアの砂漠かどっかが舞台の、三台のトラックが追っかけごっこをする映画なんだけど、一応主役はジャン・ポール・ベルモンドってことになってたけど、彼はあんまり出なくって、でもいかにも彼に似合った軽やかなワルでねえ、追っかける武骨な野郎がこれも私が好きなリノ・バンチュラで、いっしょに行動する謎めいた仲間が、そのレジナルド何とかさんだった。最初だけ出てくる怪しげな上司が、かのゲルト・フレーベだったりするのよな。たしか女はほとんど出なかった。

思い出してもうまいなあと思うのは、最初の感じじゃ、このレジナルドさんが主役っぽいんですよね。いやもしかしたら主役かな。でもやっぱりベルモンドとバンチュラが主役の映画のはずなんですよ。そのバランスが面白くて、また皆いい演技してるんですよ。それぞれが皆、脇役みたいな顔で。
私はレジナルド何とかさんの役もすごく好きで印象に残ってたんですが、この映画ではわりとごつくて渋い俳優という印象でした。「禁じられた恋の島」の少年があこがれるカリスマティックな美しさという記憶はまるでなかった。でももしかしたら、好きなタイプというか雰囲気ではあったのかもしれません。じゃあ、「禁じられた恋の島」の父親の役がとてもはまっていて、少年の偶像になるのにはあれでなくてはとか思っていたのは、私の趣味も入っていたのかな。

◇でも私がこの映画で一番好きだったのは、トラックなんですよね(笑)。
特に逃げるベルモンドと、追うバンチュラのトラックが、遭遇したり対決したり、何度かひと悶着あった後、いつも、応援について来てる三台めのトラックがひょこひょこ現れるんですが、その雰囲気がもう最高!
それぞれのトラックに、テーマソングがあって、前の二台はカッコよくて、二台めは勇ましくて重々しいんですが、この三台めのテーマソングはおちゃらけていて、ファラファラファラファラタッタッターみたいな脱力しそうなメロディーとともに、飄々のんびり現れる。その運転手もそういう人柄で、多分彼も名優です。

もう本当に、トラックたちが生きているようでした。それを見たくて何度も映画館に通いました。
のちにアラン・ドロンと、あれもリノ・バンチュラだっけがレティシアとかいう女性をめぐる男の友情を描いた「冒険者たち」という映画があったけど、あれでドロンが操縦する飛行機と、バンチュラが運転する車とが、たわむれあうように進んで行く場面で、私はフランス映画ってどうしてこう、無機物が生きてるように描くのが上手なのー!?と、「太陽の下の10万ドル」を思い出しながら陶然としたものです。

ううむ、あんなに愛してなつかしかった、でも完全に忘れていた映画にめぐりあえるとはなあ。「アルトゥーロの島」の小説を、古本を処分する前に読んどくかと、たまたま読んだのをきっかけに。

そしてさ、こういう時はつくづく、ネットやブログのありがたさを思い知る。こんな話、友人知人に聞かせたって、退屈がられるか迷惑がられるか、その前にこっちが申し訳なくて遠慮しいしいしゃべるしかない。
ひょっと同好の士がいて喜んでくれるかもしれないし、いなきゃいないで、皆スルーしてくれるだろうと安心して、思うさま自分のこうい
う思い出や喜びや、ある意味のろけを書き散らせるって、何と幸福なんでしょう(笑)。

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カツジ猫