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松田宣浩と内川聖一

ホークスの松田選手が引退するそうな。十亀投手とのさまざまな逸話でさんざん笑わせてもらったが、もうそれも思い出になるのか。ちと淋しい。二人がたがいに「特に苦手ではない」「特に得意ではない」と最後まで、言い続けていたのもおかしい。

松田選手はとことん陽気で前向きなキャラで知られていたが、それはむしろ義務感その他で意識的に作り上げていたとも言われていて、だからこそ、逆に信頼もできたところがあった。私が特に印象に残ったのはWBCの試合の間のときのことで、、巨人の坂本選手が毎回グラブを冷蔵庫で冷やしていて、それを持って来る係が当時は一番新人のホークスの周東選手の仕事になっていた。別に坂本選手が悪い訳ではないし、周東選手も全然いやそうじゃなかったものの、やっぱり若手とは言え他チームの下っぱにそれをやらせている風景は、見ていて気になる人もいたことだろう。私もちょこっとは、ひっかかっていた。

その時大ベテランの松田選手は、途中からいそいそと周東選手に先んじて、グローブの運び役だか渡し役を嬉々としてやりはじめて、ずっとそれを続けていた。どれだけ無意識だったか意識してかは知らないが、私は見ていて自分でもばかばかしいほど心を打たれ、完全に頭が下った。松田選手に限らないが、私がホークスというチームをどことなく評価し信頼しはじめたのは、あの時の松田選手の行動によるところが少なくない。

とは言え、その、すっとぼけぶりは、You Tubeの動画でずっと大人気だった、五十嵐、内川、柳田三選手の対談中で、彼らが語るエピソードの中にも鮮やかだ。この動画のもとのやつはなくなっているようだが、中身はこちらで全部見られる。若々しい柳田の人となりもよく伝わり、五十嵐選手の、いかにもこなれた巧みな会話も快い。

内川選手も、その少し前に引退した。松田選手とともに、ホークスを象徴する一人でありながら、どちらも野球を続けたいからと第一線から退いたあと、他チームに移籍したのも、何やらさわやかだ。もちろん最後まで同じチームで骨を埋めるというのも好もしいが、こういう彼らの身の処し方も、いろいろと学ばせられる。

私はホークスの地元なので、いきおいこういう情報がいろいろ入ってくるのだが、もちろん他のチームでも、そういう魅力的な選手たちのエピソードはあるのだろう。

そう言えば、今日マッサージに行ったら、隣のベッドにいた上品な老婦人が施術していたスタッフに「阪神の岡田監督って知ってる?」と聞き、その若者は「野球、詳しくないんで」と言って、奥さまは「まあ、若い人には珍しい」と言いながら、「その岡田監督が前に選手だったとき、私は好きだったのよね。しばらく見ないでいたら、監督になってるから、あらまあと思って写真を見たら、六十三歳というのに八十五ぐらいに見えたの。人って年をとるのよねえ」と嘆いていた。たしかに岡田監督の若い時ってカッコいいけど、きっと優勝するまでに大変な苦労があったんだよ。ねえ。奥さまは「私はホークスのファンなんだけど、負けてばっかりでつまらないわ」ともぼやいておられた。

写真はまあ、特に理由はないんですけど、松田選手のカモにされてた十亀投手をしのんで(いや引退はされたけど、まだお元気ですけど)、私がペーパーウェイトに使ってるぬいぐるみのかわいいカメです(笑)。

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カツジ猫