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柿の若葉

昨日、近くの本屋に行ったら、感染を扱った小説がどさどさ平台に積まれていて、笑ってしまった。そういっぺんに出されてもねえ。
こんなことがなければ絶対刊行なんかされなかったろう、デフォーの「ペスト」も文庫本で出ていた。ちょっと買いたかったけど、私も収入が減ってるし、またにしようとやめた。かわりに、若竹七海のミステリを一冊買って来た。嫌いじゃないけど、そんなに一気には読まないだろうから、長持ちしていいだろう。垣谷美雨の「リセット」は思った通り、あっという間に読んでしまった。軽食風に食べられるが実はビフテキ食わされた感じ。西鶴のノリで馬琴の大長編読んだ感じ。堪能したけど、ちびちび読めないのも困るな(笑)。

ザッパーの「愛の一家」は、読み直してみたら、あっちこっち、しっかり文章も覚えているのにびっくりした。そうめちゃくちゃに愛読した本でもなかったのに、末っ子のフリーダーが階段をごろごろ転げ落ちて、家主のおばさんが驚くところとか、おかしかったのをはっきり思い出す。彼がバイオリンをやめられなくて、父親から廊下に閉め出されるところとかも。彼がもみの木をかつぎ回すはめになるところも。他にも、ほんとに何でもない言い回しを、いろいろ現実にあったことのように思い出せる。田舎の座敷の床の間で、うずくまってせっせと何度も読んだんだよなあ。

あらためてびっくりするのは、これ、第一次大戦直後のドイツの音楽教師一家で、お父さんはちょっと気が短い人なのだが、それでも子どもたちを厳しくしつけているのに、体罰なんかまったく出て来ない。
むしろ、学校では体罰があっていて、小さい子でも手をたたかれたりしている。それだって、平手打ちとかなぐるとか、私が子どものころ日本の学校で、普通に行われていたような行為はない。
第一次大戦直後ですよ。作者は1920年代に死んでる。なのに、ちっとも古くない。

ちなみに、日本でも貝原益軒は子どものしつけに体罰なんて、考えてもないからね。彼は「愚かな乳母を雇うと、幼児に幽霊話などを話して恐がらせ、臆病な子にしてしまうからよくない」と教育論の中で言っていて、これは精神的虐待さえ禁じていて、体罰なんて想定もしてないから禁止もしてない。体罰は日本の伝統でもないし、ドイツの影響でもないんだよ。そいうことしかできない、そしてしたがる、大人や教師がいただけさ。

写真は、田舎の家から持ってきた柿を食べたあとで、種を埋めておいたら、芽が出て育った苗。一時期葉が落ちて、枯れちゃったかと思っていたら、つまようじみたいな小さいのまで、ちゃんときれいな若葉が出てる。こんなことになろうとは思わなかったから、くっつけて植えてしまったのだけど、どうしよう。その内また、移植してやらないといけないんだろうか。

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カツジ猫