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毛皮を見た日

授業が終わって、もう暗くなったひと気のないキャンパスを車に向かって歩いていると、いちじくの木と石垣の重なる下に、太った狸がいました。あたりの枯れ葉を鼻でつついていて、餌を探しているようでした。
驚かせまいと、しばらく止まって見ていると、忙しげに私の前までやって来ました。大変大きな狸でした。はちきれそうに大きな胴体と尻をしていて、夜目にも見事な銀茶色の毛皮が雨に濡れて光っていました。

私はゆっくり歩いて、うまく狸のそばを脅かすことなく通過しました。狸はそのまま、あたりを探索していました。三角の小さい顔が、ときどきこちらを見ていました。それにしても太っていて、腰回りなど、わが家の猫よりもはるかに立派でした。

そのまま車をスーパーに回して買い物に行こうと降りると、入り口の前に茶色の日本犬がおとなしく腹ばいになって、主人が出てくるのを待っていました。これもまた、艶の良い毛皮で、目の保養になりました。
買い物も、久しぶりにサラダに使える、刺し身の切れ端を集めた安いパックがあって、助かりました。

「平成大家族」を読了。最後までよいペースで、快く読めました。不幸なのか幸福なのかわからない、悲劇でも喜劇でもない、何色にもあえて染めない日常と現実の描写が卓越しています。まったく異なる世代や立場の人たちを描きながら、誰になっても異和感を感じさせないのは見事という他ありません。

明日も雨のようで、久々に遠出しようか、家で仕事をしようかと決められずにいます。猫は私の隣の椅子でよく寝ています。

写真は、「きゃらめる通信」の画像に使っている船の絵の出どころです。私の生まれる前のものかもしれない、古いクリスマスカードの絵で、置き時計とセットの額縁にそのカードを入れて保存しています。うかつに触れば破れそうな程、紙はもろくなっています。

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カツジ猫