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生理用品とトイレットペーパー。

◇かなり前に、こちらのツイログでとりあげられていた、被災地の避難所での生理用品についての話なんですが、管理している代表者が男性だった場合、女性の生理や生理用品についての理解が十分でなく、必需品ということがわからないで、送られたのを返してしまったとか、いろんなことが話題になっていました。そして、こういう非常時にそういう問題が出てくるのは、ふだんから女性の生理について、あまりにも男性側に知識がなさすぎるからだということも指摘されていました。

その中で私はひょっと思い出したことを書こうとして、なかなか時間がとれず先送りしている内に、もう生理用品云々の話題はあまり出なくなってしまってるのですが、やっぱり気になるので一応書いておきます。

私が大学生か院生のときか就職したてごろか、もう昔すぎてよく覚えてないのですが、まあ70年代の初めごろだったでしょうね。多分週刊誌かなんかで、当時の第一線で活躍していた女性たちが、「何とみっともない」と嫌悪感をあらわに攻撃したことがあって、それはどこかの大学の女子学生か学生自治会かが、トイレの生理用品を無償化して支給せよ、と大学に要求した運動でした。

◇もう何もかも、あまりにうろ覚えで、その時激怒していた女性たちが誰だったかも覚えていません。こんなの間違ったらえらいことになりますが、犬養道子さんほど昔ではなく、田嶋洋子さんほど最近ではなく、じゃ桐島洋子さんか小沢遼子さんか秋山ちえ子さんか、でも皆ちがうかもしれない(笑)。何かそう言った、女性の権利とか地位のためにまっ先に立ちあがって戦ってくれそうな、そういう感じの女性たちだったのですよね、とにかく。一人じゃなかった。数人はいたと思います。週刊誌などで、こもごも、「気持ちが悪い」みたいな、けっこう激しい否定でした。

今の時代ではもう想像もつかないほど、女性への差別や蔑視や人権無視はひどかったし、その中で私自身の中にもさまざまな屈折がありました。私は当時も今も、ウーマンリブもフェミニズムもジェンダーも、私ほどには過激じゃないと、どこかでずっと感じていたぐらいですけど、それでも特に性や生理の問題については自分の中でまだ十分に整理ができてなかったと思います。だから、この問題についても、どう感じていいのかとっさによくわかりませんでした。別に誰かから意見を聞かれたりすることも、もちろんなかったですから、それをいいことに、そのまま、つきつめて考えませんでした。

◇ただ、漠然と感じたのは、怒って女子学生たちを攻撃している先進的な女性たちが、えらく感情的だなあということでした。何がいけないのかまちがっているのか理屈ではなく、「汚らわしい」「吐き気がする」要求だ、というようなニュアンスの怒り方で、何がそんなにいけないのか、聞き返せない迫力がありました。
覚えている、もう一つ漠然ととっさに感じたのは、「ひゃあ、よかった、私もこういう運動やりかねない」という思いでした。こんな立派で最前線でがんばっている女性たちの、こんな火のような怒りを向けられるのが自分でなくて本当によかったと、実に私らしからぬヘタレな気分を味わいました。

あの運動をした女子学生たちは、多分尊敬しあこがれてもいたはずの、女性知識人たちの、あの激しい反応をどう受けとめたのでしょうか。その後どんな人生を送り、今どうしているのか。そんなことさえ思います。なんかもう、めちゃくちゃものすごい、言いすぎ思いすぎの連想をしてしまうと、フランス革命のちょっと前、国王を暗殺しようとしてとらえられ、ものすごく残酷な公開処刑で殺された、ダミアンとかいう人のこと、彼はホラー映画に名前が使われるぐらいで、文学でも歴史でも一度もまともにとりあげられてないんじゃないかと思いますが、その人のことに思いをはせるように。

◇今、避難所での生理用品について交わされる意見の中で、「女性にとってはそれはコンドームに近いものではなくて、トイレットペーパーと同じものなのだ」ということが言われていると、その通りだと思いますが、同時に私は多分それと同様の観点で、大学側に無料の支給を求めた女子学生たちの運動を思い出すのです。あの運動に反発した女性知識人たちの気持ちは、どんなものだったのだろうとか、今ならあの運動はどう評価されるのだろうかとか。いろんな人の意見を聞いてみたいです。

◇さて、5月22日には福岡の冷泉公園で「アベ政治を許さない!」集会がある模様です。

また28日には福岡の早良市民センターで、緊急講演と記念講演が行われるようです。どなたでも参加できそうなので、お申込みされる方はぜひどうぞ。

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カツジ猫