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男の子たち

今日も雨。水まきをしなくていいから、うれしいけど。梅雨も案外いいかもしれない。
朝食のおかずがなかったので、キノコとトマトをワインで煮たり、ホタテとくるみを炒めたり、適当なおかずを作っていたら、食事を始める段になって疲れてしまって、ベッドにひっくりかえって若竹七海の新しい短編集の文庫本を読んでいた。初めのころのよりも面白い。

で、ようやく食事をすませて、上の家の猫たちの世話をしに行った。おばあさん猫のグレイスは例によって待ちくたびれたか、糞を持ち出して毛布をちょっと汚したりしていたが、まあまあきれいにして待っていた。毛布を洗ってやり、エサをやってから、子猫たちの世話をする。じゅんぺいもみなきちも、お皿のエサを食べあげていて、ミルクを飲ませたらはりきって飲んだ。
買ってやったおもちゃは、まだよくわからないのか、あまり遊んでいない。さしあたりは、おたがいで取っ組み合いしてころころする方が楽しいらしい。

まあ今が一番かわいいんだよなあ。猫を山ほど飼って育てた私はよく知っているが、もう少し大きくなって、見た目も愛くるしくなって来ると、こいつら悪魔のようになる。あらゆるところに登るわぶら下がるわ物はこわすわひっくりかえすわ、もういっそ鍋に入れて煮て食ったろかとマジで思うようになったころ、すっと大人しくなって、いたずらがやむ。ガキが少年になった感じだ。
言っとくが、それまでおいとく気なんかないからな。このままの大きさだったら、まだ考慮の余地もあるが、どっちもオスだし、言ってみりゃカツジの大きさになった二匹が、この物置にいるなんて、あり得ない。思っただけでも目まいがする。

とにかく一匹は貰い手が見つかっているのだから、なるべく早く手放したい。とは言え、本当はこいつらセットで飼ってもらえるといいのだがなあ。性格も外見もちょうどいいバランスだし、コンビで売り出した方が絶対魅力的なのに。
てきぱきして、行動的で、賢そうなじゅんぺいは誰にでも喜んでもらえそうだが、ひかえめでマイペースで、甘え上手のみなきちも、実はとても魅力的な猫で、はまる人はきっと大好きになるだろう。

「夏をなくした少年たち」の作者の単行本「偽りのラストパス」を一気読み。やっぱりよかった。実は「夏をなくした少年たち」のネットでの批評の中に「女はこんなことしない」という批判があり、誰がおまえに女の代表なんか頼んだよと例によってカッとして、同じ作者の新作を注文した私も大人げない(笑)。
「偽りのラストパス」にも怪物のような卑劣で醜い悪役が登場するが、「夏をなくした少年たち」同様、作者はその人物を決して異様なできそこないとして突き放さず、どこか私たちと似たところもある人間として、静かに寄り添って描いている。それだからこそ、彼の招いた運命と、それを与えた人物に文句なく共感しながら、むしょうに悲しい。

スポーツものでもあるし、ミステリでもあるのだが、どちらも、その枠にとどまらず、先が読めないし予想ができないし、それでいて、妙に奇抜な実験的な気配がかけらもなく、オーソドックスな正統派で、読んでいて、快く好感が持てる。
でも女性があまり登場しないのよね。だから私が好きなのかもしれないけど(笑)。女性が出てくる文庫本もあるみたいだけど、何となく読むのが恐い。がっかりしたくないのかもしれない。男の子たちが、あまりに魅力的だから、これに匹敵する女の子を同じ作者が描けるはずがないって気がしてしまう(笑)。

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カツジ猫