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白い羽根。

◇庭木と格闘した際の背中の痛みは、だいぶよくなったんですが、まだまだ静養が必要と勝手に決めて、海外ドラマの「ダウントン・アビー」をでれっと見ています。風景も人物も、とにかく映像がきれいで筋なんかどうでもいいやとただ目を楽しませていたら、時は第一次大戦勃発時、たまたままだ戦争に行ってない若者に、婦人会みたいなおばさん二人が関係ない会合の席につかつか入ってきて、臆病者のしるしの「白い羽根」を配る場面が。「赤毛のアン」で、ウォルターに送られて来たのも、「ナポレオンソロ」の外人部隊のおじさんが昔受け取ったのも、これかい!と、思わず目を見張ってじっと見てしまった。かなり大きな羽根だったけど、当時はまだニワトリとか普通にそのへんにいたから調達するのに不便はなかったのかな。

配るおばさんたちが、いかにもそれらしくて、ああ、こうやって、戦争に行かない者が肩身の狭い思いをする社会情勢が作られて行くのだなと、身にしみた。そして戦場の苛酷さ、崩壊して行く男たちの姿もあらためて目に焼きついた。その一方で、女性たちが男性のしていた仕事を生き生きとこなして行く様子も描かれていて、戦争による秩序崩壊は、こうした面もあるのだなとも感じる。しかし、その分払う犠牲の大きさは、絶対勘定に合わないものだけど。男と女の間に決定的な溝を作り、「守ってやってる」という幻想の優越感と被害者意識を植えつけるというだけでも。

◇上橋菜穂子の「虚空の旅人」を読みました。いやーもう、風景描写や世界の設定もろもろ、ナルニアやハリポタをしのぐ緻密さと自然さです。女性たちの政治ネットワークがなかなか恐くてよかった(笑)。

ちなみに柚木麻子「あまからカルテット」も私は毒にも薬にもならんと、この前バカにしたけど、ネットでの感想とか読んでて気づいたのは、そう言えばこういう女同士の友情で、変な計算や裏切りや嫉妬がなく、さりとてものすごい入れ込みもなく、過激でもなく、普通にさらりと、きちんと深く、支えあう関係ってこれまであまり、ありそうでなかったのかな、そこは古いようで新しいのかということでした。普通の女性たちの、無意識にモデルにできる生き方が描かれているという点では、素知らぬ顔で革命的なのかなと。うーん、危ない、うっかりだまされるところだった(笑)。

柚木さんの「私にふさわしいホテル」で特に感じるのは、昔ながらの文学者というか、古典的で伝統的な精神のようなもので、なじんだ空気のように私はその文章世界の中で生きやすい。林真理子と似ているという感想も見ましたが、林真理子はどんなに面白くても私にはどこか理解しがたい感覚があって、宇宙人の書いたものを読んでいる気がします。向こうが合わせてくれていても。
そういう違和感は村上春樹にもいつも感じるので、これはいったい何なのかなあ。

◇終戦記念日というと、この詩を思い出します。

『 乾き 』 谷川俊太郎


  水に渇いているだけではないのです
 思想に渇いているのです



 思想に渇いているだけではないのです
 愛に渇いているのです



 愛に渇いているだけではないのです
 神に渇いているのです



 神に渇いているだけではないのです
 何に渇いているのか分からないのです



 <水ヲ下サイ   水ヲ・・・・・・>
  あの日からずっと渇きつづけているのです

同じ谷川さんのではもう一つ、チャーチルの死についての詩も覚えているんですが、これはネットで検索しても出て来ない。作者が破棄したのかな。「週刊朝日」に連載されてたコラムにあったやつなんですが。

◇カツジ猫とは仲直りしたけど、上の家の猫のグレイスが何だか食欲がないようだし、母はゆうべ部屋の中で転んで負傷したらしいし、いろいろあって、ゆっくりブログの更新もできない。いろんなことが起こり続けてはいるようですので、いつものこちらでチェックを。何でも在特会のデモの最後に自民党議員が激励演説をしたとか。それがニュースにもならないことが恐怖です。

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