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真夏のイチゴ。

◇いつもやるわけじゃないが、学生のレポートや卒論の指導をしているとき、支離滅裂で意味不明の内容を、何とかさりげなく無難にまとめて、さもちゃんとしたことが書いてあるかのように作り直すということを時々した。改竄ではないとしても、添削の域は超えてるかもしれんという感じの手直しだ。

で、今朝の毎日新聞が昨日の国会でのやりとりをまとめているのを見て、あきれて、うなった。首相がちゃんとした回答をしているかのように見える(笑)。内閣の支持率は読売や産経でも落ちてきて、不支持が支持を上回っているが、新聞がこれだけボロをかくした報道をしていても、国民が不支持に回るというのが、私には不思議なくらいだ。もう誰も新聞なんて読んでないのじゃないかとさえ言いたくなる。

実際には、国会での首相や閣僚の答弁は本当にひどい。先制攻撃を認めるとしかとれない超危険な発言をしたと思えば、中国を名指しで仮想敵国扱いするというこれまた危険極まりないことをやってのけ、ミサイルで原発が攻撃された場合のことは原子力委員会が考えるだろうから特に対策はないと明言し、ひとまとめに審議した11法案の名称を覚えていないらしいこともわかった。

「首相は法案の名前をすべて言えますか」という質問が失礼で、答えられなくても無理はないと感じる人もいるかもしれないが、審議してもらうために法案を提出している当人が名前を覚えられないほどに、いっしょくたにまとめて出していることが、どんなに非常識かってことだよな。

今日は今日とて、どなたかのツイートで、中谷防衛相が「弾薬は武器ではない」と答弁したそうで、まさかと思って確認したら、社民党の福島議員の質問に答えて、「弾薬は消耗品で、武器ではない」と答えたそうだ。「へらへら笑いながら」と書いてる記事もあって、それはもう相当に末期症状なのではあるまいか。

首相も閣僚もまるでやる気がないとしか見えない、こんな法案で自衛隊や国民を危険にさらすのは、整備不良の車でカーレースに出るより恐い。とにかくいったん白紙に戻してほしいとしか言いようがない。

◇今日は、久しぶりに行ったレストランのご主人にも、「安倍内閣はひどいですね」と話しかけられ、母のホームのヘルパーさんも私が母のへやの壁にはっていた、女の子が銃を折ってるポスターを「かわいいですね、この前もこの近くでデモがあってましたね」と言い、「私も歩いてたのよ」と言うと、何だか喜んでおられた。そして「でも自分たちの声なんかなかなか届きませんね」と言っておられた。たしかに何か表現したいけど、どうしていいかわからない人たちが、今はとても増えていると思う。大都会なら集会に行くのだろうが、地方ではどういうことが可能なのか、考えてみないといけない。

私はこうして、行く先々で、特に水を向けるわけでもないのに、戦争法案や政府への怒りが語られるという状況は60年安保の時だって、それ以来だって、これまでなかったと思うし、それなりに心強くもある一方、こうやって自分の側が多数派になり大きな存在になって行くことに、居心地の悪さのようなものも感じる。

その点で、シールズの学生のスピーチをめぐるフェミニズムの立場からの疑問にはじまった論争は、むしろ歓迎したし大切にしたかったのだが、けっこう激しい(疑問に対する)否定とスピーチ擁護が多いのに、実は少々驚いている。
あの疑問はそんなに危険なものだったろうか? あの疑問があったからと言って、スピーチの価値が否定されるようなものだったろうか?

◇私自身は「お母さんが家でごはんを作って待っていてくれる幸福を大事にしたい」と語ったあのスピーチに、「それは女性が家で食事を作るのが当然ということを前提にしていないか。それは自民党や日本会議の理想とする家庭や女性像と同じではないのか」といった疑問は特に感じなかった。
だがそれは、私がそういう疑問を抱くことを、どこかであきらめて来たからかもしれないという実感もたしかにある。「まあその内に」とか「今はまだ言うときじゃない」という感じでさしあたり封印しておこうという意識は、多分きっとどこかにあった。

それをあえて口にした人たちが軽率だったか賢明だったか、それも私は今わからない。スピーチの文脈や真意を検討すれば、そこに疑問を持つのは誤りだった可能性もある。しかし、それでも、そういう反応をしてしまう気分というのは私にはとてもよく理解できる。それをまったく理解できずに否定してしまう人たちがいるとしたら、あらためてこういった問題はまだまだ先が長いなと痛感する。だからこそ、葬り去ってほしくない。口にした人たちも、絶望して口を閉ざしてしまわないでほしい。理解してもらうための、あらゆる手段と手法を考えてほしい。
むろん、私も考える。

◇昨日は久しぶりに街に出て、お盆のお供え用のお菓子をデパートの地下で物色した。まだ時期が早かったせいか、きれいでおいしそうなものが、いろいろあって楽しく買い物をした。しかし、これを飾るためには、まだもうちょっと上の家を片づけないといけないなあ。

上の家の玄関前の草取りもちょっとだけした。なぜか門柱の下のイチゴに花が咲いていたのだが、赤い実もいくつか熟れていて、もいで食べたら、ちゃんとイチゴの味がした。

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カツジ猫