終戦記念日
じゅうばこさん キャラママさん
本当に此の暑さは堪りませんね。家の横の川には良く白鷺や青鷺が来て真冬の雪の中でも水中に立って居るのを「寒くないのかね」と母と話して居たのですが、今は羨ましいばかりです。(笑)
じゅうばこさんの映画の感想を面白く拝読して居ます。松本清張の「霧の旗」も理不尽な迄の復讐が爽快でしたが、あれと似て居ますね。でもあれは一応強者に対する弱者のそれでしたからね。何が強者で弱者なのかが分かり難くなって居る現状は有りますが。
終戦記念日前後の特集をテレビで見て居たら、NHKのニュースでしたか、元特高の男性がどうしても特高の仕事になじめず、贖罪の意もこめて終戦時に処分するよう上司に命令された、逮捕された人々の手紙や葉書を保存し、今もその差出人を訪ねたり、講演で体験を語って居ると言う報道が有って、驚きました。短いけれど良い報道でした。もっと詳しく知りたかったです。
葉書を出した男性の一人は逮捕後に獄中で死んで居り、恐らく拷問で殺されたのでしょうが、驚いたのは此の男性の場合の様に、特高が一般市民の葉書を検閲して、厭戦思想と思われる表現が有ったら逮捕して居たと言うのですが、その様な戦争批判を手紙ではなく葉書に書いて居たと言う事です。その程度にはまだ自由が有る様に見えて居たと言う事なのでしょうか。私の今の感覚では、これは考えられません。戦時下の雰囲気はまだまだ知らない事があるのだと思い知らされました。
元特高の男性は、この様な葉書や手紙の厭戦、反戦の言辞について「人々のせめてもの抵抗だった」と語って居ました。組織的な秘密裡の非合法活動ではなく、孤独でやむにやまれぬ思いの自殺にも似た表現行為だったのでしょうか。こんな事を葉書に書いて自分を危険に晒すのは不毛な行為にすら見えるのですが。
特高の男性の見解は当時を知る人の正しい判断だと思うだけに、もっと詳しく当時の事情を聞きたくて堪りませんでした。非常に良い番組でした。
それに引き換えてドラマの「帰国」はいただけませんでしたね。ビートたけしが出て居る時点で何やら悪い予感はしたのですが。大学野球や無言館の絵画等、感動を呼ぶ題材もつなぎあわせた感が拭えず、とりわけ現代の家族や老人問題が鉄拳制裁で片付くと言う感覚には怒りや笑いを通り越して恐怖を覚えました。
この様なドラマを作る時、戦後と現在への愛も理解も無いのは本当に頂けません。若者や子供や未来への信頼や愛が無いのもです。
戦死した人々を追慕し哀悼しようと言うなら、まず現在を愛し理解しようとする事から始めたらどうですか。
大筋から細かい部分までがすべてピントがずれて居て、見て居るのが気の毒で辛い程でした。