聞いとくんだった
叔母が亡くなってもう十五年ぐらいになるかしら。夫婦仲のよかった叔父は叔母の二年目に亡くなり、その後は叔母は私の車で買い物に行くこともあった。叔父の高級外車に乗り慣れた叔母には、私の新古の軽はさぞかしぺかぺかの道路が直接お尻にあたる感じの乗り心地だったのではないかと思うが、特に文句も言わなかった。
スーパーでは駐車場の車に叔母を待たせておいて、私が買い物をしてくることもあったけど、その時叔母はいつも歯磨きはなぜかこの赤白青の三色のチューブに決めていて、まちがって二色のを一度買ったらがっかりされた。
叔母は保険所長で医学博士でもあったが、けっこうミーハーで、テレビのワイドショーでとりあげられたものを即買ったりもしていたから、この歯磨きのどこがよかったのか、未だに理由はわからない。
叔母の死の前後に私は叔母のためか自分のためか、この歯磨きを十本近く買いだめてしまっていて、それをやっとこさ先日使いつくしそうになった。
叔母の死の前後に私は叔母のためか自分のためか、この歯磨きを十本近く買いだめてしまっていて、それをやっとこさ先日使いつくしそうになった。
いくら何でも、もう同じ品はないだろうと思ってスーパーに行ったら、十五年前と変わらぬ三色のデザインが目について、ついまたそれを買ってしまった。
しかも、この値上がりの折り、何と増量までしている。まあ価格も上がっているのかもしれないけれど、そこは確認できなかった。
しかも、この値上がりの折り、何と増量までしている。まあ価格も上がっているのかもしれないけれど、そこは確認できなかった。
残った最後の一本と並べて、洗面所に立ててみた。「母と、母の母」シリーズなどを書いていても、祖父母や叔母に聞かないままになったことは実に多いと実感するが、案外こういうどうでもいいことを聞いておかなかったのが、今となっては妙に気になる。
超どーでもいい話をいくつか。
海外ドラマの「ハワイ・ファイブ・オー」(リベラルとタカ派とが、ものすごく混在してるのが笑えるが、なぜか悪い感じじゃない)をぼやっと見てるんですが、先日見た、豚が出てくる場面で、女性の豚の飼育員さんが、ほんとに悪い意味じゃなく、ものすごく何だかそれらしかった。多分きれいな女優さんなんだろうが、たくましくて泥臭くて、変にダサくしてるんじゃないのに、はー、豚の飼育員さんだなと妙に納得してしまった。
ついでに言うと、この豚の排泄物を見張る役目が「LOST」とかでもおなじみのもしゃもしゃ髪の太った俳優さんで、こんな人が豚の柵の中で椅子に座っていたら、ものすごく暑苦しくて汚い感じになりそうなのに、全然そうではなくて、むしろどこやら清潔感と軽やかささえ漂っていたのにびっくりした。有名な役者さんではあるけど、ひょっとして名優か?
このドラマは悪役の大物が皆、変に無駄にイケメンのいい男な一方、レギュラー陣にどうかしたら不快なほど太った人たちが登場する。有色人種枠とかのように、太った体型枠でも規定があるんじゃないかと思うぐらいだ。
けど、その内に目が慣れて、不快にも不自然にも感じなくなった。こういうとこもひょっとして、リベラルっぽい要素のひとつなのかしらとちょっと思ってみたくなるけど、どうなんだろう。むろん役者の力ってのもあるんだろうけど。
関係ないけどそう言えば、このツイートにも、笑いました。
もしゴキブリが「バルサンは悪夢!」って連呼してたり、ヤブ蚊が「蚊取り線香は危険!」って叫んでたら、皆「そらお前らにとっちゃそうだろ」と、思うじゃん? 自民党が「悪夢の民主党!」って連呼するのも同じだよ。納得しちゃダメだよ。ゴキブリやヤブ蚊じゃあるまいし。(pica.pica@投票で命を守ろう @corvidaepica)