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背すじ

美輪明宏さんが亡くなられた。
 私は湾岸戦争が始まったとき、手塚治虫さんと開高健さんが亡くなっておられることが、とても残念で、恐くて悲しくて心細くて、「お二人が今いて下さったら」と切に願った。その時に痛感した、「この人も、その内にいなくなる」という予感と、覚悟を、それからずっと、いろんな人に対して持ちながら生きていた気がする。山本圭さん、瀬戸内寂聴さん、橋本治さん、田辺聖子さん、坂本龍一さん、などなどのいなくなられた時も、「いつか来る日」と思っていたから、ひざをつかずに立っていられた。美輪さんについても、それは同じだ。

残された「愛があれば戦争なんて起こりません」というメッセージも、一見甘くて単純なようにも見える。戦争で得する人、喜ぶ人もいるんですよ、と軍需産業や武器商人を鋭く批判し否定したように、深く鋭い見解もしっかり持って公言もしていた人にしては、穏やかでおおらか過ぎる印象もある。けれど、それだけ広く広がり伝わることも考えて、選びぬかれたことばかもしれない。「愛するものを守るために戦う」という、言い古された戦争肯定のスローガンと、真っ向から立ち向かって無効にし弱体化させることばでもある。

NHKが、そのメッセージさえも無視して報道しなかったらしいのに唖然としたし、民放のテレビも、三島由紀夫との交流など、無難な話題で、やりすごしているものが多かった。それでも、ご本人に思い残すことはなかったと思う。できる限りのことをして、満足されて、残す未来を、私たちのことを信じておられたと思う。あるいは、自分のこの思いを引き継げない未来なんか、どうなっても知らんわと達観されておられたかも。どちらにしても、ありがとうございましたとしか、言うことばはない。

それにしても最後まで、しっかりまっすぐ背すじをのばして、いい姿勢をしておられたなあ。十年ほど若い私でも、よっぽど気をつけていないと、ひとりでに、背中が曲がって、前かがみになりそうなのに。その方がずっと楽なんですよ。比べるのも失礼だが、あの姿勢のよさは、まねをしたいが、難しい。

雨が降り続く間に、家の中の片づけをすまそうと思っていたのに、いろいろあって、結局昨日今日と晴れるまで、何も片づけられなかった。くうう。せめてたまった洗濯物を一気に洗って干してやった。毛布もタオルケットもお日さまでぱりっと乾いたから、まあよしとしよう。

杉並区の区長選挙が、まっとうに行われて、まっとうな方が再選された。これはうれしいが、国会の方はますますひどくなっている。

このところずっと校正作業でアヘアヘしていた、「断捨離」シリーズの紙本四冊(電子書籍では、ずっと以前に発売済み)が、めでたく無事にしあがった。ひと仕事終わって、ほっとしている。このお知らせはまた明日にでも。下の方にも紹介がありますので、ごらんになって下さい。

庭のグラジオラスを雨にいたまないようにと、切ってきて飾った。明るい黄色がなかなかいい。

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カツジ猫