自戒
今日は本当に良い御天気で洗濯物を庭に干して居ます。
庭や土手では水仙がすがれ始め、代わりに椿が濃く紅い花をつけて居ます。草が一斉に伸び始めたので、そろそろ草取りもしなければなりますまい。
先の書き込みの「メネストレル」は「チボー家の人々」の最後辺りに登場する人物です。主人公のジャックは第二次大戦勃発時にスイスで反戦運動をし社会主義革命を目指して居ます。メネストレルはそのグループのリーダー的存在の一人。元パイロットで、聡明で鋭い知性の持主です。
しかし彼は、此の戦争が資本家達の利益を追求した物に過ぎない事を示す書類を入手した時、此れを公開したら世界の世論が戦争反対で盛り上がり戦争は回避されるだろうと確信するのですが、「今そうなったら戦争は起らずに済むが人々は現状に満足し革命は起らないだろう」と考えます。資本主義社会の欠点を徹底的に大衆が味わう為には今の時点で戦争が中止されるのでは不十分だと彼の知性は告げるのです。その結果彼は此の機会を利用せず戦争は起ります。
ジャックは最後まで其の事は知らないのですが、此処にはジャックとメネストレルの違いが表れて居ます。メネストレルも自分の其の判断と行為の責任は自分で取るのですが。
メネストレルは美しい手をした人で、其の手の最後の描写が私の記憶に今も焼き付いて居ます。
原発事故は長丁場に成りそうですね。他の地域の復興も長引く事と思います。
其れに伴って私の周囲でも人々は様々な形で平常心を取り戻しつつ有る様です。
じゅうばこさんも言われる通り私も自粛は嫌いですが、「西日本が元気で居なければ」と言うのをいわば錦の御旗にして、現地の事を考えず目を背けるのを正当化しようとして居る人達は明らかに居て、余り好きにはなれませんね。「見たくない、考えたくない、私で無くて良かった」と堂々と言ってのけるなら、まだどこか愛すべき所も有りますけれど。(笑)
けれど、そう言って居る私自身も心の何処かに此の非常時を楽しんで居ないか、人々との共感や連帯を喜んで居ないか、時々気に成って居ます。
こんな災害が起らなければ私の日常は平穏で、もっと沢山の仕事が出来て充実した春に成ったのにと口惜しい一方、自分の仕事と生活に没頭する日々は例え家族や友人や仕事仲間が居ても、矢張り何処か退屈で孤独だったと感じます。
目に見えない多くの人々と繋がって居ると言う一体感が今の日本にはあちこちに有って、其れの魅力と危険さを共に感じて居ます。