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萩尾望都「なのはな」感想など。

◇キャラママさん。
お疲れさまです。私の方はおかげさまで、猫のカツジ君と甘い共同生活を送っています(笑)。
カツジ君はときどき、旧宅の庭にキャラママさんの姿がちらちらすると、猫小屋の金網にはりついて、みゃあおんみゃあおん呼んでます。

私が家にいることが超少ないからか、おっしゃるところの「デスパレートな妻たち」(新シーズンがDVDで出ましたね。まだレンタル料高いんで敬遠してますが)のスーザンみたいな方とは、まだお目にかかっておりません。あのドラマ同様、「あたし、キャラママさんの『ぱーとなー』なんですの」とか言ってみたら、ますます関心もたれてカツジを誘拐されちゃったりするのかな(笑)。

◇この前、本屋さんで、震災後に萩尾望都さんが描いた「なのはな」というマンガ本を買いました。絵も内容もまっとうで、おかしな言い方ですが、安らかに読めました。
福島の家族を描いた「なのはな」の連作ではさんで、三つの放射能物質を擬人化したSFがあって、これまた、あまりにもまっとうで、その通りの内容なので、最初は少しものたりないのですが、つい何度もくりかえして読んでしまいます。

特に萩尾さんのSFの視点が「制御のしかたもわからないまま、人間が開発してしまった」ウランやプルトニウムそのものの悲しみというところにあるのが、あまりに自然だから、かえってまっとうでものたりないという印象さえ最初に持ってしまったのだけど、これって決して、他の人には書けない発想かもしれない。
「人類に愛され、役にたちたいのに、危険だと烙印をおされて10万年も幽閉され、愛してつくしたかった人類の滅亡を見なければならない」彼ら(?)の哀しみと恐怖の深さをも想像するということは、なかなかできるこっちゃないかも。

たとえ物質であれ、そのような無惨で不毛な最期をとげさせることには私もすごく違和感、不快感があって、だから六ヶ所村やら何やらの核廃棄物貯蔵施設を見るたびに、たとえばまっとうな墓場や遺跡に感じる安らかさや幸福感を決して抱くことなんかできない。
これは、そういう問題でもあるんじゃないかなって、あらためて感じました。私たちは、人間や動物はもちろん、物質にさえも、安らかで美しい消滅を確保してやる義務があるんじゃないでしょうか。それをめざして生きてくべきなんじゃないかしらん。

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カツジ猫