1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. 輝け、六月。

輝け、六月。

◇ネットで何人かの人が指摘しているように、共謀罪が成立した日は、60年安保闘争の中で女子学生の樺美智子さんが亡くなった日でした。

◇茨木のり子の美しい詩のタイトルになっている月でもあります。
 
六月    
                 茨木 のり子         

どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終わりには一杯の黒ビール
鍬を立てかけ 籠をおき
男も女も大きなジョッキをかたむける

 どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
 どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

 どこかに美しい人と人の力はないか
同じ時代をともに生きる
 したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる



◇とても個人的なところでは、私の飼い猫カツジが、紆余転変の曲折あって、めでたく私の猫として、わが家にやって来た月でもあります(笑)。あれからもう7年になるんだねえ、カツジ。

◇そんな6月を、あのような醜く最低なかたちで議会政治がふみにじられ、時の指導者がぶざまな姿をさらし続けた月としてだけ、世界の年表に記され、人の記憶にとどめたくはありません。

それに対して、これまでにない深く広いさまざまな人のつながりが生まれ、怒りの輪が豊かな実りを生み出した月として、歴史に刻まなければ、この6月がかわいそうです。

◇直接の抗議や戦いだけに限らず、私はこの6月を今後の私の新しい人生に向けて、いくつもの忘れられないスタートをする月にする。大きなことでも、ささやかなことでも、「ああ、それはあの6月の激しい怒りをきっかけに、はじまった」と覚えていられる月にする。
そうやって思い出せる成果をきっと、あげてやる。これから先の人生で。いくつも、いくつも、いくらでも。

◇怒りと不安の中で、何かしたい、何をしようかと思っている人へ。
私に有効なアドバイスができるわけではありません。
ただ、さしあたり、忘れないで下さい。
覚え続けていて、近くせまった都議選をはじめ、あらゆる選挙の投票に反映させて下さい。

あなたが投票したり、棄権したりしたら、それを口実に「支持されているから何をしてもいい」と言って好き勝手をしまくるとわかった政党と、その言いなりになる政党には、絶対に投票しないで下さい。その人たちが一番いやがるだろう政党に必ず投票して下さい。

これから以後、しばらく何事もなくても、かりに政府や与党がよいことをいくらしても、それで気持ちを変えないで下さい。今回のこの暴挙は何をもってしても帳消しにしてはだめです。抱いた怒りは、決して忘れない記憶力に変えて、にぎりしめ、持ち続けましょう。にぎりしめた手のひらの中の冷たい痛みを、憎しみではない固い決意を、絶対に消してはいけません。

◇具体的に何かしたければ、「しんぶん赤旗」を購読して下さい。日曜版でも、日刊でも。
あるいは「東京新聞」、または沖縄の新聞を。
それらには、まだぶれない情報が日常的に書かれています。
お金も、時間も厳しいでしょうが、このたびの怒りを、それを生み出す力に変えて下さい。

駅や街頭で配布されるチラシを受けとって下さい。
街頭演説に足をとめ、耳をかたむけて下さい。
近場の集会や学習会に参加して下さい。

◇本を読みましょう。こういう時こそ、古典をいろいろ。岩波文庫あたりからでも。
近くの友だちと、政治や社会や歴史や哲学の話をしましょう。夜中も夜明けまでも、話し合いましょう。
「どうするか」「どっちが正しいか」などと煮詰めた話もいいですが、むしろ、結論は持ち越してもいいから、どうでもいいような話をあれこれとしましょう。
アベであれ、中韓であれ、意見が一致する悪者を決めて、一方的に盛り上がるのは、あまり成果がありません。
傷のなめあいや身内の愚痴りあいも必要な時はありますが、もっと見たくないものに目を据えて、タフでダイナミックな議論をする機会も作りましょう。
過激に、そして柔軟に。

◇輝け、6月。私の世界。 

Twitter Facebook
カツジ猫