雨が続いて
※洗濯物も中々乾きません。でも作物には良いのでしょう。この数日夜に成ると周囲の水田から、ぐうぐうと言う様な低い唸り声が聞こえて来ます。此れは食用蛙の鳴き声だそうです。此の数年聞かなかった様な気がして居ましたが戻って来たのでしょうか。
※少し前に此処で話題に成って居たパンダと言う犬の事ですが、NHK教育の再放送を見て居ましたら、パンダの飼い主の御夫婦は赤宇木の避難所に居られた方の御一人だったのですね。
此の避難所の映像は以前に一度作家の吉岡忍さんが汚染地域を探訪された時にも紹介されて居て、ひどい放射線量の中に十数人の方が住んで居られた(もちろん御存じなかったからですが)様子が私は見て居て本当に恐くて、理屈で放射能が恐いとか言うだけではなく、本当に普通の穏やかな村民の皆さんが慎ましく幸福とさえ言える様な優しい共同体を築いて居られる様子が、それだからこそでしょうか、何処か悪夢の様に恐ろしく、此の世の物とは思えない不気味な痛ましさで目に焼き付きました。其の方々がと言うのではなく、その実態の映像が美しいだけに平和なだけに、見て居て胸が詰まって二度と見たくないと思う程の生理的な嫌悪感を持ちました。
警戒区域の動物達が死に絶えて行く映像も無残で目を蔽いたく成ります。しかし、其れはまだ直接的な恐さです。あの避難所の映像は、(そう言えば花が咲き乱れ緑が広がる警戒区域の風景もそうなのですが、)美しいだけに一層、何も気付かない儘に人が殺されて行く場面を目の当たりに見せられて居る様な言い知れぬ恐怖が迫って来ました。
其の中の御一人で、かつて原発に勤めても居た女性が「本当に原発が憎い。電気等要らないから原発を無くして欲しい」と強く言われ、其の理由が「今も家に猫と犬に餌を遣りに行くと、後でほどける様に緩く結んだ紐を外して犬が毎回追って来る」と其れを何よりも辛い、原発を憎む理由として挙げられたのが強く印象に残りました。
其れからと言う物、あの避難所の映像を戦慄と嫌悪と共に思い出す度に、其れと繋がる様にして何時も其の女性の語って居た犬と猫の事を思い、どんな家かと知らず知らず空想して居ました。御夫婦と犬や猫の様子を思い描こうとしても、どんな家で庭なのか分からない儘に空想は今一つぼやけて居ましたが。
パンダと言う名の犬が話題に成って居たNHK教育の番組を見て居て、暫く経った後で初めて、あの女性と御夫婦が結び付き、私が空想で中々具体的には思い描けなかった家と庭はあの様な場所だったのだと鮮明に理解し、不思議な感慨と共に改めて深い悲しみに襲われました。
赤宇木にしても此の様な話題に登場する其の他の地名にしても、パソコンで打とうとしても地名が其の儘出ては来ません。其れ程に無名の静かな田舎の小村が悲劇の晴れ舞台に登場し脚光を浴びて居る事に怒りと悲しみを感じて居ます。