雪山と黒雲
こう書くと何やら遭難じみて聞こえますが、例の私の頭をはさんで両側に寝る、うちの二匹の猫(シナモンとカツジ)の話です。
私がベッドに行くとシナモンはいそいそとついて来ます。カツジは居間の椅子に丸くなったまま。頭をなでて「寝るよ」と言ってもしらん顔です。
シナモンは以前はすぐに、私の頭の左側でくるんと丸くなっていたのですが、今はカツジが気になるらしく、しばらく前足を立てて座ったままで入口の方を見て(にらんで)います。
うとうとしていて、ふと見上げると、目の上からシナモンの顔が見下ろしていて、巨大な雪の山がそびえているようで、かなりな圧迫感。
「おいで、寝なさい」とひっぱると、しぶしぶ横になって丸くなりますが、どうかするとまた起き直っています。
何とかそっちが落ちついたと思って、「カツジ~」と呼ぶとしばらくすると、カツジがのそのそベッドの右側にきて、私のわきに上がります。
しかし、時に呼ぼうとして頭をめぐらすと、すでにカツジは音もなくベッドに上がってきていて、シナモンと反対側の右側に、これまた巨大なふわふわの黒っぽいかたまりが、雪雲のようにぬぼ~っとそびえて、広がっています。
「び、びっくりさせるな~」と言いながら、私はあおむけになって右手でカツジを左手でシナモンを抱きながら、そのまま眠ります。
寝がえりもろくに打てないから、こんなのは身体によくないですよね~。やっぱり、日々遭難してるのかもしれない。
ところで成績も出したし、やっと気分が少し片づけモードになって、混乱の極致の書斎を整理しはじめました。わりと何とかなりそうなので、しめしめと思っていたら、また別の仕事が入って中断しなくてはなりそう。天気もいいし、出かけて人と会うのもまあいいか。
天気予報では寒さがぶり返すとか言っているので、びくびくしているのですが、さすがにそうまではないようですね。
昨夜、朴斎道也の「松島紀行」を読んでいたら、冒頭で関所を気軽に通ろうとして役人にいちゃもんをつけられた話があって、笑いました。たちまち平謝りして無事に通過する作者の適当さぶりが、また素敵でした。(笑)
「笑談夏の旅」という紀行にも同じような話が出てきて、江戸後期、形骸化しつつある関所で、目に余る態度を腹にすえかねる役人の歯ぎしりが聞こえてきそうです。