馬脚。

◇仕事もいろいろたまってるし、思いつきでぺらぺらしゃべっちゃ、昨日言ったことを全部否定するような、どっかの市長にかまってるヒマはないんだけどさ。

昨日（おとといか、もう）久しぶりにテレビ見てたら、その市長が出てきて（出す方も出す方だとは思うが）、例の慰安婦問題について、ものすごい釈明をしていた。

いわく「自分は慰安婦が必要だったなんて一度も言っていない。当時は必要とされていた、と言っただけだ。誰でもわかると言ったのも、必要なのがではなく、必要とされていたのがわかるという意味だ。これを皆に誤解された」（あらためて書くと、ほんとすごいなー。解釈改憲なんか足元にも及ばない、神学教義や禅問答なみの複雑な表現だよなー。）

「強制連行されたか、軍が関与していたかは問題じゃない。そこを議論するからこれまでおかしかった。そんなことはどうでもいい、とにかく慰安婦は絶対に許されない」

「アメリカに風俗業を利用しろと言ったのは、自分の英語力がないのと、かの国の文化を知らなかったから、誤解を招いた。沖縄の風俗業に携わる女性たちに不快な思いをさせたのならおわびする。しかし、自分が風俗で働いてもいないのに、当事者のように抗議する女性たちにはいっさいおわびなどする気はない」

「よその国がやってるから、日本のしたことも認めろとも、自分はまったく言っていない。これも誤解だ。どの国も、そんなことをしてはいけないのである。当然である。自分は沖縄の米兵の暴行事件を何とかしたかったのであって、これからそのことを訴えて、アメリカと対決して行く」

細かい表現などはちがうかもしれませんから、「そんな意味で言っていない」とまた抗議されるかもしれませんが、発言後の最初の会見のときは「あれはいい」と評価していた、毎日新聞の報道も次回の会見では名指しで非難されたようですし、もう要するに世間の反応がよくないご自分の発言については、全部「誤報」「聞き間違い」にするんでしょうから、ちょっともう、こっちも責任持てません（笑）。

◇だいたい、全国民と全報道関係者が同じように聞き間違って誤解するような発言は、もうその真意はどうであれ、発言や発信能力が決定的に欠如してるとしか思えないんですが。

あの発言を聞いたおそらくすべての人が、「戦争の時に命をかけて戦っている兵士には性的な慰めが必要で、それは誰にでもわかることだ。どこの国でもやっていたことなのに、日本だけが特別なように言われるのはおかしい」と、あの発言を解釈したでしょう。実にすっきり言いたいことがわかる、いい発言じゃないですか、内容はともかくとして（笑）。

私はとっさに、これは女性をなめてて、けんかを売ったなと思ったけど、その私でさえ、これにどれだけ、日本と世界が反発するかは疑問でした。これに類した発言や発想は、ネットでもテレビでもけっこう見聞きしていたし、苦笑まじりに批判されても、あまり抵抗なく受け入れられて、また一歩（私にとって不愉快な方向に）踏み込んだ発言が、既成事実になりかねないとも感じてました。

私でさえがそう思ってたんですよ。あの市長さんが、そう思わないわけはない。都知事もそうですが、こういう不快で危険な発言をくり返して、どの程度反発があるかを手さぐりしながら、ずるずる自分たちの意見、というより感覚を広めて行くのは、ほんとに、いつものやり方だったわけで。

直後に維新の会で「韓国人の娼婦がうようよいる。私は大阪に帰って彼女らを直接面罵しようと思う。皆、負けてないで反撃しましょう」（このままの文句じゃないけど、ほぼそういうこと）と訴えて、除名されてしまったらしい何とかさんは、言ってることはもう怒る以前に笑うっきゃないほどアホで低級な世迷い言ではありますけど、何だか気の毒でもありますよね。この人は多分、市長の発言をとても正しく受け止めて解釈して、広めようと思ったのだし、同じことを思った人は、きっと全国に山ほどいますよ。「あっ、こういうこと言っちゃやばいのか」と、今びっくりして首をすくめてるだけで。