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黒ひげ大旋風

それでなくても、大相撲だのプロ野球だのにそこそこうつつを抜かしてるのだから、この上サッカーなどにはまったら、ろくな老後になりそうもないと、テレビ中継も関連するニュースもあんまり見ないようにしていたのだが、トランプ大統領がレッドカードで出場停止になっていたアメリカの選手を、どうかこうかして出場させ、なのにそのチームがベルギーに負けてしまったという話は、出来すぎていて笑ってしまった。当の選手にとっても、アメリカチームにとっても、トランプ大統領にとってさえ、これは一番幸いな結果だったのではないかしらん(笑)。

とっさに思い出したのは、もう何十年も前の、学生時代かなんかに見た、ディズニーの「黒ひげ大旋風」という映画だった。ビデオもDVDもなかった時代、この映画が好きで何度も映画館に通ったっけ。そりゃもう、他愛のない映画で、海賊の幽霊が現代に現れ、ひょんなことから地元のスポーツ大会で、弱小チームの応援というか、勝利に一役買う話だ。これがもう、めちゃくちゃおかしいし、よく出来ていた。

悪役は地元の暴力団で悪徳政治家で、こいつらは弱小チームが負けないと困る事情があるものだから(土地の買い占めができないか何かそんなことで)、絶対敗けると思っていた弱小チームが海賊の手助けで勝ちそうになって、子分の一人が思わず客席から拳銃で選手を撃とうとし、さすがにボスがとめたりするのだが、その盛り上がりと熱狂も、すごく自然でおかしくて最高だ。今回のトランプ大統領のしたことを知って、まっ先に思い出したのは、その子分のことだった(笑)。

なつかしさのあまり、「黒ひげ」の映画をネットで検索してみたら、なんと今でも人気があって、DVDもちゃんと出ていて、思わず買ってしまった。あはは。でも、Amazonのコメントを読んでもおわかりでしょうが、この映画、絶対に面白いし、お買い得ですから、スポーツ好き、海賊好きのかたは、ぜひどうぞ!

プロ野球選手の中でもサッカーは大人気らしい。オールスターのファン投票で選ばれたホークスの栗原選手と周東選手が、インタビューでサッカー用語を連発したおふざけあいさつで、取材陣を笑わせてというか、あきれさせていた。こっちも見ていて笑ったが、何となく栗原選手は先行きかまわず浮かれて、「ふざけて始めたのはいいが、どう落ちをつけたらいいかわからなくなったのでは」とファンサイトで言われていたようだし、周東選手の方はファン投票での選出は初めてのことだし、きちんとあいさつしたいのだが、暴走してしまった栗原選手をおいていくわけにも行かなくて、つきあってやったりもしなくてはならず、ちょっと忙しそうだった(笑)。これもファンサイトのコメントでは、どこかのニュースの映像では終わったあとで、栗原選手に「二度といっしょに会見はしたくない」と言ってたとのことで、妙に納得して噴き出してしまった。もっとも、何を賭けてもいいが、栗原選手の方は何のことだか、何を怒られたのか、まったくわかってないだろう。いろいろと最高のコンビかも知れない。

これも遅すぎるニュースだが、ホークスではベテランの中村晃選手が今季で引退の決意をしたようだ。私は彼の全盛期は知らないのだが、去年の優勝でも、最初はスタメンじゃなかったのを方針転換でスタメンになって、それに応え、今年は代打で出場して活躍していたのを、大変な能力と精神力だと、いつも驚いていた。

とことん場違いな引用かも知れないが、たしか石川啄木の詩で、社会主義運動をしていた仲間の、無口な一人を追悼した「墓碑銘」というのがあって、その中の、「されど、我には何時にてもつことを得る準備あり」の一文を、何だかよく思い出していた。中村選手はもちろんまだ元気だし現役だし、失礼かとも思ったけれど、この詩が描き出す人間像が、チームメイトと馴れ合わず、「トゲのある厳しさ」を保とうとしたという彼に、あちこちとても似ているので、ちょっと長いが引用しちゃお。ごめんなさい。

 

墓碑銘

一九一一・六・一六・TOKYO

 

われは常にかれを尊敬せりき、
しかして今もなほ尊敬す――
かの郊外の墓地のくりの木の下に
かれを葬りて、すでにふた月をたれど。

実に、われらの会合の席に彼を見ずなりてより、
すでにふた月は過ぎ去りたり。
かれは議論家にてはなかりしかど、
なくてかなはぬ一人なりしが。

或る時、彼の語りけるは、
‘同志よ、われの無言をとがむることなかれ。
われは議論することあたはず、
されど、我には何時にてもつことを得る準備あり。’

‘かれの眼は常に論者の怯懦けふだ叱責しっせきす。’
同志の一人はかくかれを評しき。
しかり、われもまた度度たびたびしかく感じたりき。
しかして、今や再びその眼より正義の叱責をうくることなし。

かれは労働者――一個の機械職工なりき。
かれは常に熱心に、且つ快活に働き、
暇あれば同志と語り、またよく読書したり。
かれは煙草も酒も用ゐざりき。

かれの真摯しんしにして不屈、且つ思慮深き性格は、
かのジュラの山地のバクウニンが友を忍ばしめたり。
かれは烈しき熱に冒されて病の床によこたはりつつ、
なほよく死にいたるまで譫語うはごとを口にせざりき。

‘今日は五月一日なり、われらの日なり。’
これかれのわれに遺したる最後の言葉なり。
その日の朝、われはかれの病を見舞ひ、
その日のゆふべ、かれは遂に永き眠りに入れり。

ああ、かの広き額と、鉄槌てっつゐのごときかひなと、
しかして、また、かの生を恐れざりしごとく
死を恐れざりし、常に直視する眼と、
眼つぶれば今も猶わが前にあり。

彼の遺骸は、一個の唯物論者として、
かの栗の木の下に葬られたり。
われら同志のえらびたる墓碑銘は左の如し、
‘われには何時にても起つことを得る準備あり。’

なお、この詩は「青空文庫」「呼子と口笛」に入っていて、他にもいい詩が多いです。

他に、最近では移籍してきた山本捕手に、ベンチですぐにあいさつの手をさしのべたりしたのもファンに尊敬されてたし、前にファンサイトで香水の話が出た時、タクシーの運転手さんが「これまで乗せた選手の中で一番いい香りがしていたのは中村選手」って言ってた話も、記憶に残っています。

他にもまだいろんな話題が、あれこれとありますが、今日はこのへんで。ああもう、それにしても、福岡県議会は、いったいどうなっちゃってるんでしょう。

写真は多分今年最後の奥庭のユリ。カッコよすぎて、また切り花にするチャンスを逃しそう(笑)。

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カツジ猫