いらつくなあ（２）。

私は自分が悲観主義者とも、暗い人間とも思ってなかったのだが、たとえばネットのどこかで誰かが、「こんなとき、伊達直人は現れてくれないのか！」と書いてるのを見ると、よくそんな前向きなことが考えられるなと思い、あらためて、私は津波後の最初の映像を見たときから、この中には伊達直人その他を名のって、ランドセルやなんか寄付した方も、何人かはきっとおられるんじゃないだろうか、もうその人のしたことは、永遠に知られないままなんだろうなと思っていたことに気づく。

テレビの番組がもとに戻りはじめて、さんまや紳助がしゃべってるのを見ると、まあある種救いもあるわけなんだけど、そのそばから、紳助がカンボジアの学校建設のために寄付をしてもらうのに、いろんな人から絵を描いてもらって、オークションをしてたのを思い出し、それぞれの絵を高額で買ってくれて、うれしそうにしておられた老若男女いろんな方を思い出し、あの方々の何人かは今回被害にあわれているのではないか、あの絵もどんなに大事にされていても、あの中で今は流されてしまっているのではないかと考えてしまう。
絵を描いて下さった方の中には、やなせたかしさんもいたから、彼が被災地のために絵と詩を贈ったというニュースを見ても、そのことを思い出してしまう。

どれもこれも、しかたがないことだし、この世にあり得ることではあるけど、あらためて考えると気が沈む。そもそも私は何でこんな、気がつかなくてもいいことばっかり気がつくのかと、自分にうんざりする。

さらに、あんなに田畑がだめになって、コメや農作物は不足しないかとか、これだけ保険料はらって保険会社は倒産しないかとか、マイケル・ムーア監督が告発していたアメリカのえげつない保険会社は、皆にお金をちゃんと払ってくれるんだろうかとか、被災地の確定申告はどうなるんだろうとか、考え出すときりがない。
いっそもう、何も考えないで、とにかく生きること、助けること、目先のことに全力集中した方がいいんだろうな、きっと。

もちろん、原発のこともめちゃくちゃ気になる。あの建屋の、ほんとは清々しい青と白の模様が、すっかり印象が悪くなって、夢に出そうだ。かわいそうに、いい色なのに。