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にまにま

私の記憶が一番さかのぼれるぐらいの大昔、田舎の家の居間に飾ってあった、小さいおひなさまの話は前にしたと思う。その家を人に買ってもらって、引き上げる最後の時に、そのおひなさま(ミニチュアのひな壇だった)の一部が欠けていた、そのかけらを見つけようと、必死に探したけどだめだった話も書いた。

一人のおひなさまが欠けている、その最前列の空席に、何か代わりにくっつけようと家中を物色していたが、よさそうなものがなく、とうとうネットで見つけた郷土玩具のミニコーナーに、指先に乗るぐらいの三角だるまと、姫だるまを思いきって注文してみた。一センチぐらいと書いてあったけど、どうせ実物は大きすぎて使えないだろうなと、あまり期待はしていなかった。

そうしたら、昨日封筒に入って、それが届いた。三角だるまは三体で1セット、姫だるまは一体だが、どれもみごとに小さい。こ、これは…と思わず手が震えた(とは大げさ)。しかも、おまけなのか、豆どころか砂粒みたいに小さいミニだるまもひとつ入っている(後で考えると、やっぱり私が注文してたかな?)。

ひな壇の欠けた部分においてみた。せっかくだから最前列は一番華やかな姫だるまにして、三角だるまは適当に空いた場所に配置し、極小だるまは思いきって内裏様の間に座らせた。なかなか行けそうである。三角だるまのひとつは、虎縞模様で、これもまあ今年の干支で、ちょうどいい記念になる。

しかし、この作業にはピンセットがいるわと思いながら、一応そのへんにあった毛抜を用意した上で、前にこのひな壇の壊れていた背景の金屏風を補修してそのまま置いていた、アロンアルファをだるまの底に塗ってくっつけてみたら、毛抜も使わないで案外うまく貼りつけられた。しばらくしてから、触ってみたら、ちゃんと接着できている。

あらためてながめると、70年以上昔のものなのに、下の方の一人二人の顔がはげている他は、内裏様も三人官女も、その他も、皆一応きれいなままだ。そこに新しく加わった五体のだるまも、少し色が鮮やかなだけで、まるで違和感がない。むしろ、華やいでにぎやかに、ひな壇が活気づいている。異質なものが加わったことで、一段とみごとに力強くなったようでさえある。さすが、わが家のおひなさまと言おうか(笑)。

こうやって補修も終わったことだし、他のひなまつりグッズとともに、箱に入れて片づけなくてはいけないのだけど、見ているだけで楽しくて、何度も見に行ってはにまにましてしまう。節分の「祈る鬼」さんと同様に、居残り組にしてしまおうか。それにしてもひょっと猫が落としたりしたらいけないから、上の家のガラス棚にまでは持って行って入れておこうか。

でも、こんなに、うまく行くこともあるものだよなあ。こんな使い方をされるとは、郷土玩具もまさかに思わなかっただろうけど、おひなさまとだるまの異文化交流も、そう悪いものではなかろう。何より見た目がよろしいわ…私の自己満足かもしれないけど。
それで、このおひなさま、これから何年生き延びるんだろう。新しいメンバーも加わったことだし、ずっと健在でいてほしいけど。

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カツジ猫