誕生と臨終
窓の下におく鉢を、ピンクのひなまつり用から、ブルーと黄色のパンジーにとりかえました。ピンクの花は、上の家の前に移動しています。百円の安い苗だったわりには、おひなさまムードを出すのに充分活躍してくれました。
パンジーって、黄色でもたいていお顔があるから、しんまで黄色だけっていうのは少ないんだよね。それを選んで買って来ました。安いから助かるわー。でもこれで、花の土を使い果たしちゃったから、また買わなくちゃ。
ところでさ…。
先日、確定申告を何とかすませて、達成感と疲労感でぼうっとしながら帰ってきたら、庭の境の柵にはさまるようにして、白黒の野良猫が死にかけていました。
いや別に柵にはさまれたんじゃないですよ。いつも、そこから、低くなっている隣家の空き地に飛び降りて逃げて行くんですが、どうやらそこを飛び降りる力がもうなくなって力つきたらしい。
前ほどは野良猫は庭に現れなくなっているんですが、それでもちょこちょこ入って来ていて、特にこの白黒猫は、何だか具合が悪そうで、口を開けていたりやせていたり、病気じゃないかなと思っていました。
どうやら、うちの庭が気に入っているらしく、追っぱらってもけっこうよく来ていました。
そのままだと、ブロックの上に腹ばっているから冷たいだろうと、抱き上げて近くの草の上に移してやりました。息はしているけれど、もう身体が冷たくなりはじめていて、とても助かりそうにはありません。口からは血のようなものを吐いているし、死ぬのは時間の問題のようです。
幸い暖かい日でしたから、夕方までに息を引き取れば草の上で陽を浴びて、それなりに快適な最期だろうけど、夜に入ると寒くなると天気予報は言ってたし、気になって暗くなりかけたころ行ってみたら、まだお腹は上下して、息はとまっていない。
この猫たちに庭を荒らされて、どれだけ苦労をしたか、今後もさせられるかを考えると、比べちゃいけないだろうけど、ロシア兵の捕虜にスープをふるまうウクライナ市民の気分はこうもあろうかとか、しょうもないことを思いつつ、しょうがないから、ダンボール箱に古い毛布を入れて、その中に寝せてくるんでやって、以前に子猫たちを育てた物置に入れてやりました。
静かに寝ていましたが、翌朝早く、元気になってたらそれも困るなと思いつつ見に行ったら、固く冷たくなって、しっかり死んでいました。
その日も幸いめっぽう暖かく、逆に長く置いていたら死体が傷みそうでもあるし、善は急げと、奥庭の月桂樹の近くに穴を掘って、毛布に包んだまま埋めてやりました。ここは、以前に上の住宅と擁壁を作った業者の方が、しっかり固めて下さった土地で、草もあまり生えない代わり、掘りにくいのですが、少し前に桜の木を悪戦苦闘して移植した経験が効いて、あまり苦労もしないで無駄なく力が発揮できて、立派な墓穴が掘れたし、しっかり埋葬できました。あれだけ来たがっていた庭に眠れて、彼(まだ若い雄のようでした)も文句はありますまい。
それにしても、あの物置は、産み捨てられた子猫たちの成長を見守った上に、今度は亡くなる猫の最期をみとったわけで、いろいろ活躍してくれるので、ありがたい建物です。
野良猫たちについては、他にも気になることがあり、今後の方針もいろいろ考えているところです。