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ひとつずつ、つぶして行くか

首相も政府も、それに追随する人たちも、あまりにぐちゃぐちゃで、たたくネタが多すぎて、かえって手がまわらない。ここはひとつ、こまめに、一個ずつたたいて行くしかない。

そこで今朝の毎日新聞。首相にすしをおごってもらってる一人らしいが、まあまあまともなことを書くこともある人が、今朝は桜田大臣を擁護する、しょうもない論説を書いていた。例の「がっかり」発言についてだ。

一部をとりあげてたたくのはいかんと首相の支持者はよく文句を言うが、今回のは全部を読んだらもっとひどいと皆が言っていて、そこで、この人は今度は、言った状況をとりあげている。記者が何度もしつこく聞く中で出てきた発言だから、そこを無視してたたくのは行きすぎだという主張だ。

たしかにまあ、私もこの大臣は、ほんとに「がっかり」したのだろうし、言うてみりゃ赤の他人が重い病気になったからって、そう心から悲しめないのは当然だ。その点では、ふだんは首相を支持し沖縄や野党の悪口をいう、ヤフーのコメントの数々が「こればっかりは許せない」みたいに大臣をたたきまくっているのを見ると、あんたらよくまあ直接知らないスポーツ選手にそこまで熱くなれるなと、はっきり言って気持ちが悪い。

言わせてもらえば私なんか、そんな他人の病気より、自分の年金が株価の維持に投入されたり、戦争起こされたり憲法変えられたりすることの方が、よっぽど気になるし深刻だし切実だけどな。そういうことは気にならんのだろうか。この件で、これだけ怒ってる人たちは。

とか何とか、自分に火の粉が飛んで炎上しそうな発言はひかえるとして、私があの大臣にがっくりして、とっととやめてほしいと思うのは、そんなしょうもない本心をぺらっと言っちゃう間抜けで甘いとこですよ。何を言ったらどうなるか、そんな判断もできないような無能力が一番恐い。そんなのに政治をまかせたくない。もちろん、その無能力が、人の命を自分らの業績のコマとしてしか見てなくて、「がっかり」としか感じられない無神経な冷たさとセットになるから、なお悪い。

本音で人を魅了できないんだったら、せめて嘘のつき方ぐらい覚えとけ。それが良心ってもんだろう。

ところで、その毎日新聞の論説だが、記者からしつこくからまれたからしょうがないって、ちがうだろ、少々からまれたぐらいで、言っちゃまずいことを言っちゃう、まさにそのユルさが問題なんだろうがよ。

思い起こせば私は山口百恵がデビューしたときから大好きだったが、引退直前にもう完全にノックアウトされたのは、以下のような場面を見たからだ。このホームページの「空想の森」の中の「グラディエーター論文集」に入っている「かまいたち ラッセル・クロウ論」から引用する。言うまでもないが、私はこれ以後、堺正章を見るたびに嫌悪感と軽蔑しか感じない。

彼女の引退直前のインタビューで堺正章が「女の幸福は結婚ですよね」と水を何度も向けるのに対し「私はそうだが、人によってそれはちがう、いちがいに言えない」とくりかえして譲らなかった彼女に、堺が最後に「引退したからには二度と戻って来ないで下さい」と強い口調で明らかに腹いせで言ったのも忘れられない。あら、と軽く驚いたように静かに笑った彼女を見て、「もう、こんな状況だったら、こんな心境の時だったら、『それが女にとって幸福』とあなたが言っても私は許す。嫌いにはならない」と弱気にあきらめかけていた私は、何と激しく彼女を愛したことだったろう。何とすぐれた芸能人を失おうとしているのだろうとあらためて痛感したことだったろう。

山口百恵をそんじょそこらのアホ大臣と比較するのも冒涜だが、あくまで卑俗な言い方をすると、たかがタレント、たかが小娘だって、こんな苛烈な状況で、言うまいと思ったことはちゃんと言わずにいられるのだよ。いくらアホのおっさんだって、絶大な権力持った大臣を何甘やかしてんのさ。

久々に「野球天国」から、一話。

ただ同然

大打者スタン・ミュージアルも、はじめてカージナルスに入団したときには、新人とあって、たださえ高いとは言いかねるカージナルスの報酬水準の、しかも最低線で我慢しなければならなかった。
ある午後、スタンはみごとな三塁打をはなち、サード・ベースに立つと、三塁コーチに出ていたマイク・ゴンザレスが言った。「スタン、お前みたいにポカポカ景気よくかっとばせたら、俺はただでプレーしてもいいよ」
ミュージアルはニベもなく答えた。「現に僕はそうしてるじゃありませんか」

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カツジ猫