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ロシアのニワトリ

(共産党後援会ニュースに掲載したものの再録です。)

去年の暮れ、用事があって久しぶりに福岡に行った。忘れていたがクリスマスが近くて、博多駅前は華やかに賑わって、いろんな出店も出ていた。ロシアの雑貨を売っている店先に並んでいる、ニワトリのおもちゃを見て、思わず足をとめた。

亡くなった母は、万博に一人で出かけて、アメリカ館は月の石だけで大したことなく、ソ連館の方がずっと面白かったと興奮気味に話した。木製の小さなソ連のおもちゃをいくつか買って来ていて、中でもうちわのような円盤の上に輪になったニワトリがいて、動かすと下の重りでコツコツと餌をついばむように板をつつくのを、「かわいい」と気に入っていた。他のおもちゃは今も残っているのに、それだけは誰かに上げたのか、いつからかなくなっていた。

母が買って帰ったのは、白木に赤と茶色のわずかな色付けをしただけの素朴なものだったが、ロシアの娘さんらしいスタッフが売っていたのは、形もしかけも同じだが、極彩色で、餌みたいな木の粒もちゃんと貼り付けられていた。

忙しい予定の中、ほとんど走り過ぎながら私はその一つを買って帰って母の位牌の前においた。ソ連はロシアに変わり、プーチンという危険な指導者が愚かな日本の指導者を手玉に取っている。ニワトリたちのコツコツと木をつつく昔と同じ音を聞きながら、今年は何とかしなくちゃねと私は母に語りかけている。

 

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