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白鳥の王子たち

コロナもオリンピックも近畿財務局も気になるし、しょうもないことでよかったら、言いたいことは山ほどある。
とりあえず、こんな時に品性下劣な俗物の極みが日本とアメリカそれぞれのトップにすわっていたことは、両国民にとって本当に不幸だというしかない。

しかし、私は実は今それどころではない。自分の仕事が追いつめられて忙しい。
童話の「白鳥の王子」だったっけ、魔女に白鳥にされてしまった十一人の王子の呪いを解いて元の姿に戻すために、妹の王女がせっせと兄たちの人数分の上着を、トゲのある草のイラクサで、手を傷つけながら編み続けるという話は。
最後は彼女自身が魔女と疑われて、火あぶりにされるために馬車で運ばれて行くのだが、その馬車の中でも、火あぶり台の薪の上で今にも火がつけられそうになっても、彼女は必死でイラクサの上着を編み続けている。
火がつく寸前、十一羽の大きな白鳥が舞い降りて来て彼女を取り囲んでかばう。やっと編み上がった上着を彼女が鳥たちに投げかけると、白鳥たちは立派な王子の姿に戻る。ハッピーエンドでめでたしめでたし。まだ片袖が編み上がってない最後の上着を投げかけられた一番末の王子さまが、片っぽの腕だけがまだ白鳥の羽だったというのも、ちょっと素敵だった。

これまでの人生でときどき、火あぶりになりそうに追いこまれていながら、わきめも振らずに何かを作り続けていて、これを仕上げたら白鳥は王子に代わり、私も彼らも他の皆も救われると必死に急いでいたことがある。
今もその、おなじみの気分だ。足元の薪は燃え出し、虚空に羽の音が聞こえて近づいてくる。ばさばさばさ。

というわけで皆さん、私は元気ですが、詳しい消息は今しばらくお待ち下さい。あ、お隣の方が教えて下さった話では、私の家の裏は擁壁の下に側溝もできて、きれいにコンクリートが張られつつあるとか。うれしいな。でも、その横の少し広い部分の庭は、水仙の球根も埋まっているはずだし、そのままにしておこうと思っています。お金をかけてガーデニングする余裕はないので、表のユキヤナギの枝でも切って、挿し木して植えとこうかな。うまく育てば、きっとみごとだ。あー、仕事に戻らねば。

それにしても、そうか、今気がついたが、私が子どものころに好きだった童話の双璧は、この「白鳥の王子」と「雪の女王」で、これどっちも、女が男を救いに行く物語なんだよなー(笑)。だからこそ、「雪の女王」を原作の骨ガラもないくらい、めちゃくちゃ改ざんしやがった「アナとなんちゃら」のアニメが私は大っきらいだったのかもしれない。

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カツジ猫