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笑い話にもならない

白菜が余っていたので、何か作ろうと思って刻んで塩をふったところで、やる気がなくなってほったらかしてる。このごろ、こんなことが多い。脳細胞が徐々に死にかけているのだろう。知ったことか。猫もかわいがらなくなった。何をする気にもなれない。

午前中は九条の会の定例会だった。5月の末に15周年だっけちがったっけの記念講演会をやろうということで、皆で計画を立てた。午前中を講演会、午後は分科会にしようとしていたが、「もう皆、高齢だから、朝の十時から夕方五時までの、そんな強行スケジュールで身体がもつのか」という意見が出て、午後の部はあっさりめにしようということになった。

分科会は、三つにして、①安倍改憲とどう戦うか、②地球温暖化と原発問題、③ジェンダーと人権、のテーマにしようというのが原案だった。①はやっぱりメインだし、できたら午前中の講演会とつなげて講師の方にも参加してもらおうということになり、②は玄海原発差し止めの原告団が、③は教職員組合や新婦人の会の人たちが協力してくれるだろう。

私が「ジェンダーは必要なテーマと思うけど、私なんかがくだまいて終わるようではいけなくて、それなりに理論や知識を持った人に、きちんと講義してもらうことが、今度のこの会でなくてもいずれ必要だ」と言ったら、「でもやはり、本当に苦しんでいる人の生の声を聞きたい」「これは女性の問題ではなく、男性の問題だから男性が自分のこととして考えないとだめだ」などと話が発展し、今日はたまたま男性と女性の参加者が両側に分かれて座っていたので、対戦めいた雰囲気になり、皆笑ってしまった。

参加者はそこそこ高齢で、地域では町内会の役員になっている人も多いので、地域の年寄の感覚がものすごく古いことを、男性の参加者も実感しているようで、「この前の地域の集まりで、最後にお茶を入れようとしたら、支度をする男性は自分だけで若い女性が手伝いに来ても、男性はまったく来ない」と怒っている人もいた。「戦後の感覚が全然変わっていない。憲法の精神が根付いていない」「男女別姓問題にしても、レイプ事件の判決にしても、自民党の憲法草案の家族関係の記述にしても、皆そこと関係する」「今回のいきなり休校問題にしても、共稼ぎや働く女性のことが、まったく考えられていない」「署名を集めていると、沖縄で若い女性が米兵にレイプされたことを話すと、そんな夜に歩く女性の方が悪いと言って署名しない女の人もいたから、男性だけでなく、女性の考えも問題」などと、いろんな意見が出た。

北海道旅行に行く友人と、明日久しぶりに博多で会ってお茶でも飲もうと言っていたのだが、コロナウィルスの関係で、旅行がどうなるかわからないので、さっき電話して一応会うのは延期した。
彼女も私もコロナウィルスなど大したこととも思っていないのだが、彼女の友人たちは「行くのをやめろ」と、わざわざ電話して来たそうだ。「どうしても行くなら、こっそり行け。どこに行ったか誰にも知られないようにして行かないと、帰って来た後で感染者扱いされるぞ」とも。
彼女も一人暮らしなので、近所の人に留守を頼んで行くのだが、どうしようか迷ったそうだ。黙って行こうか、どこに行くか言わないで行こうか、岡山にでも行くと言おうか、お土産をどうしようかとか、いろいろ考えたらしい。結局、ありのままに北海道に行くと言って出ることにしたそうな。

「そらそうやなあ。岡山とか嘘ついたら、きびだんご買って行かなくちゃいけないのに、ホワイトチョコとか持って行けないじゃん」と私は言って、「私もあんたも、一応は知識人のはしくれなんだから、世間のうろたえてるのを冷静にさせる義務ちゅうもんがあるし」と言いかけて、「あ、でも、あんたを必死でとめたお友だちも、ちゃんとした人たちなんやろ、どうせ」と聞くと、「ふたりとも学校の先生やで」だって。だめだこりゃ。

彼女のとこの町内会では、五月のお祭りも中止しようとしているらしい。まったくもう、何なんだ。
私はどっちかというと、こうやって、いろんな行事は中止しろ仕事に行くな出かけるな休め休め家にこもれと言われるのは好みにあっているから、まだどこかで笑っていられるが、私の嫌いな方向になだれを打って世の中が流れ始めたらどうなるかと思うと、さすがに、しんから、ぞっとする。皆、ほんとに、おかしいよ。

彼女の知り合いの人の子どもは、高熱が出て診断されたらインフルエンザだったそうで、周囲の人から「よかったねえ」と言われまくって、「インフルエンザの方が大変なのに」と怒っていたそうだ。もはや、笑い話にもならない。

ところで、昨日、三島由紀夫の「聖セバスチャンの殉教」風写真をリンクしておきましたが、もっとちゃんとした?写真の記事もあったので、紹介しておきます。三島が「仮面の告白」で書いた、聖セバスチャンの絵画の写真も載っています。プロ野球なんちゃらの表紙の写真は、どっちかというと、この絵の感じに近いかもしれません。

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カツジ猫