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ある到達

どうせとことん不愉快な夜になるだろうから、開票速報なんか見ないで、ミステリーでも読んで寝てやると思って、家の前の掲示板の共産党の間島候補のチラシとかだけ片づけて、かわりに憲法9条のキルトの写真をはっといた。その写真を印刷するとき、ちらっとツイッターを見たら、山添拓、田村智子、辻元清美さんたちが当確になってた一方、辰巳コータロー、森ゆうこさんは落ちたようで、改憲4党は三分の二を取りそうだ。ということは明日からいろいろ忙しくなりそうだが、自分のペースを乱さないようにしておかないと。

それとは別に、今書いておかなければならないことがある。

安倍元首相のイメージというかキャラが、私はこれまでどうしてもはっきりつかめなかった。本当に人間かしらと疑うぐらい、人柄が見えて来なかった。作家のはしくれや文学研究者として敗北感を感じるほどだった。
しかし、今回の事件で統一教会との関係を知って、何となく幻想でも妄想でも彼という人間が見えてきた気がする。

一口に言って、統一教会にとっては最高に都合のいい、使いやすくて利用しやすいえじきだったのだろうなあと思う。若者世代を中心に彼を好きな人が多かった理由のひとつだろう、育ちの良さとバカっぽさ。そしてそれと共存する、劣等感とプライド。恐いもの知らずの無邪気さと残酷さ。カルト集団にとって、これほど思い通りになる使い勝手のいいコマはなかったはずだ。
骨の髄まで、利用され、しゃぶりつくされたのだとしか私の目には見えない。本当に最後の最後まで。

そう思うと、初めて彼の実像が見えてくる。そういう役割を果たしたことを許そうとは絶対に思わない。が、今私の心に生まれているのは、決して憎しみには変わりようのない、下手したら愛に近いものになりそうな、限りない深い哀れみである。

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カツジ猫