新入生へのちらし

「むなかた九条の会」では、毎年入学式のときに、新入生を対象にチラシを配る。今年は憲法のリーフレットといっしょに配ったせいか、皆がよく受け取ってくれて、２７０枚ほどが全部なくなって、足りないほどだったらしい。教職員組合のメンバーも何人も来て、学内情勢を伝えるチラシをまいていたそうだ。
いい内容のチラシだったので、紹介しておきたいけど、うまくコピーできなかった。私の書いた「九条の会」のちらしの分だけ、以下にあげておく。

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選びとるために

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。

自分は選ばれてここにいるのだ。そのような誇りと喜び、そして感謝を抱きながら今日を迎えた人もいるでしょう。
でも同時に、皆さんが今日ここにいるのは、この大学に来ることを皆さんが選んだからです。
そのための努力を、それにつながる未来を、皆さんが選んだからです。

皆さんは、これまでに、すでにいろんなかたちで選ばれたり、選んだりした体験があるでしょう。勉強で、スポーツで、恋愛で、友情で。これからも、きっと人生の最後の日まで、それは続くでしょう。授業、実習、就職、結婚、仕事、選挙など、あらゆる場所で、私たちは試され選ばれ、また選びとるのです。

選びとるためには、比べなければなりません。
比べるためには、よく知らなければなりません。
その手間を、惜しまないで下さい。
講義を通して知識を増やし、実験や演習の中で真実にせまる手法を身につけて下さい。本を読み、想像力や論理性をみがいて下さい。

そうやって育てた、あなた自身の目と頭、そして心で、たくさんのものをしっかりと見比べて、選び続けて行って下さい。
人や回りに左右されずに。
「常識」や「法律」さえも、場合によっては疑って。
そんなものは、国境を越えれば、時代が過ぎれば、まったく変わってしまうことも多いのですから。

選びとれない人生、選びとれない時代を生きるしかなかった人たちもいます。
何かを選んだら、何かを失わなければならなかった人たちもいます。
そんな世の中には、なるべくしないで下さい。
選べるものが、たくさんあること。
何を選んでも、そのために何かを奪われることは絶対にないこと。
そんな世の中を、守って下さい。
そんな世の中を、めざして下さい。
教師として。人間として。
未来をになう、若者として。