「水の王子」通信(10)
「村に」の登場人物一覧。でも読めない方々には欲求不満がつのるかなあ。まあ、予告編ということで。
ナカツクニ(わりと以前からいた人たち)
オオクニヌシ
能力が高く外見も立派で人格もすぐれていたが、そのためにかえって友人や家族から苛烈な迫害を受け、人間に対する深い不信と絶望、希望と愛のはざまでゆれている。しかしそういう暗い内面を感じさせないおおらかさと強さを持ち、年を重ねるとともにしたたかさやずるさも身につけてきた。村の長ではないと言いつつ、訪れる旅人に的確な対応をして、あるいはすぐれた力を発揮させ、あるいは安らいで過ごせるように気をくばる。その結果、自由でとらえどころのないふしぎな村を作り上げた。その一方で冷たさや厳しさもあり、こうと決めたら決して変えないほど、考え抜いて行動する。疲れて無気力になることもあるが、持ち前の皮肉っぽさとのんきさで、のりきっている。
スセリ
オオクニヌシの妻。スサノオの娘。父も都も深く愛しつつ、その弱点も見抜いていて、都にはない何かに常にあこがれていた。都に訪れたオオクニヌシの一行を愛し、彼らとともに都を出ることを決意し、今ではオオクニヌシとともに村のまとめ役になっている。中年になってもどこか少女のような初々しさや清々しさを失わず、オオクニヌシと深く愛し合い信じあい、支え合っているが、どうかすると再びどこかに旅だって行きそうなところもあって、夫をときどき不安にさせている。コトシロヌシ、タケミナカタ、シタテルヒメ、三人の子どもを深く愛しながら、彼らがあまりに安定してしっかりしているのを、ちょっとつまらなく思っているのも彼女らしい。
コトシロヌシ
すべてにおいて目だたない、地味でもの静かな若者。ふだんは山上の小屋に一人で住んで、小鳥たちと遊びながら、遠い草原や海の沖を観察し、時に山上に来るタカマガハラの船とも交流して、広い世界の情報を得ている。母のスセリに言わせれば「苦労や不幸のなかったヒルコ」のようで、「ちょっと退屈だが、この村の長には向いてるかも」とのこと。
タケミナカタ
オオクニヌシの後をついで村の長になると皆に信じられていたし、父母とも愛し合っていたのに、冒険と修行のため村を出て旅だってしまった。堂々とした美丈夫で、性格もおおらかで明るく誰にでも好かれる。父のオオクニヌシに言わせると「のんきで、まぬけなところもある」ほどの強さと優しさで、戦いも強く賢く、いうところなしの英雄だが、今どうしているかは誰も知らない。
シタテルヒメ
タケミナカタと同様かそれ以上に父母の後をついで村の長になることを期待されていた、健康的で美しく賢い娘。戦いも強く学問でも優秀だが、やはり冒険や成長を求めて村を出て行ったまま、今は行方がわからない。あまりにすべてにすぐれていて、何をしてもあっさり成功するから「すばらしい」「美しい」という印象だけが残って誰もその魅力をきちんと説明できない始末。どこまでも自然体でてらいがなく、華やかなのに安定していて、人の心を騒がせない。
サルタヒコ
最も古くからいた村の住民。もともとは漁師だったが、わにざめが入江に住みついてしまったので、今は畑仕事に精を出している。たくましい中年男で、やや老けてみえるが身体も心も元気そのもの。アメノウズメと仲よくなって夫婦のように暮らしている。昔をなつかしみつつ、今もけっこう幸せそう。オオクニヌシの一家とも親しい。
ヌナカワヒメ
おだやかで落ち着いた中年女性。かつてスサノオの都の三姉妹とも交流のあった、ある国のお妃に仕えていた。しかし、学識と医学にすぐれたお妃とそれを支える侍女たちの才能や能力に嫉妬した王により、彼女らは全員殺される。少女だったヌナカワヒメ一人に、薬や技術の数々を託してお妃たちは彼女を逃した。以後多くの町や村に住んだが、支配者や周囲を警戒して、その知識も能力もいっさい使わず年をとった。村をおとずれ、オオクニヌシの人柄にふれて彼を信頼し、初めてその力を明らかにして、医者として村人のためにつくすようになる。
ホオリ
昔からの村の住民だった父母がわにざめのために漁ができなくなり、新しい仕事をさがして村をはなれる時、持っていた大きな船の管理を頼んだタマヨリヒメに、二人の子どもの世話も頼んだ。その内の一人。タマヨリヒメや村人にかわいがられながらも、ホデリとともに父母が迎えに来るのを待っている。無邪気でおっとりしているが、変に図太いところもある。ヒルコたちと同様、大きくならず幼い少年のまま。
ホデリ
ホオリと同じにタマヨリヒメに育てられながら父母が新しい仕事を見つけて迎えに来るのを待っている。のほほんと明るいホオリより、顔立ちや表情が少し暗くて厳しい感じに見えるが、実は繊細で傷つきやすいし、愛情深い。父母のこともおそらくホオリよりもなつかしがっているだろう。今のところはヒルコとハヤオより少し年下なので、ホオリとともにヒルコたちになついていて、よく話したり遊んだりする。
写真は古い絵葉書で、安井曽太郎の風景画みたい。「村」の風景としてはちょっとごちゃごちゃしてるけど、何となくイメージあるかもね。
てゆーか、こんな「紹介」書いてると、皆の顔の絵も描きたくなって困るんだよねー。うずうず(笑)。→後日結局描いちゃったけどさ。