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「水の王子」通信(15)

このごろ、庭木を刈り込んだ枯れ枝を捨てに、宗像の清掃工場に行くことが多い。車で運んだゴミをすべて放り込んで、出入りの際に車の重さを測って、その差でお金を払う。私などは最低の百七十円ですむから助かる。

わりと市内だけど辺鄙なところではあるから、途中に立ち寄って一服する喫茶店とかがまるでないのが、ちょっとつまらないが、緑あふれる景色の中をずっと走れるのはいい。
特に、ここへの往復で、前にも見てはいたのだろうが、あらためて宗像の周囲の山々の、どっしりとした美しさに魅せられた。なだらかで、大きくて、圧迫感がないのに威容がある。

私は女人禁制の沖ノ島の世界遺産を持つ宗像大社は気に食わないし、最近神社への賽銭や買い物代が神道政治連盟とかいうおかしな団体に吸い上げられているらしいとわかって、なおのことお参りに行きたくなくなっているが、それはそれとして、この地が神の宿る場所として人々に愛され崇拝されていたというのが、山々のかたちを見ていると、とてもよくわかるのだ。

今回、この地で日本神話をもとにしたファンタジー小説「水の王子」を完成させることができた。何度か初詣のときに宗像大社に「水の王子」を完成させてと祈ったこともある。願いは聞き届けられたようだ。

この小説を書き出したころ、田舎の実家はまだ私や家族が住んでいた。今はよい人たちに買ってもらって、大事に住んでもらっているが、この小説の誕生はあそこだと言っていい。
その田舎は宇佐八幡にほど近く、高校時代もその後も、神社の境内は遊び場所のようなものだった。

二つの神の居場所で生まれて、完成したこの作品には、どこか両方の土地の深い森や山々の息吹もこもっているようでならない。

写真は宇佐神宮の境内。宗像の山々もいずれ撮って来ますね。

その後、宗像の山の写真をごまんと撮ってきました。
曇り空だったせいか、いまいち美しさが伝わらないんですけど、いいのが撮れたらまた差し替えます。でも、これでもその魅力はわかりますよね?

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カツジ猫