「水の王子」通信(55)
このイラストの場面がいつのことかは微妙ですね。まあ、第三部「都には」や第四部「海の」のラストあたりの、わにざめが来る前の入り江で、オオクニヌシとスセリの子どもたちが遊んでるところともとれますが。
それはともあれ、結局イラスト制作を再開してしまいました。
「村に」の出版がもう進行中なので、イラストの原稿ももう渡してしまっていて、描いても本には入らないってのはわかってるし、やめてもよかったんですけど、そうは行かなかったなあ。
空想の世界を文字で書くのと同様に、絵で表現するのも楽しいことを知りました。上手になることはないだろうし、もちろんプロになんかは永遠にほど遠いけど、それでも描いていると、世界が広がり、物語が活気づき、そこからまた新しく生まれてくる。
しなきゃならない仕事も多いし、こんなことしてる時間はないというのも、じゅうじゅうわかってはいます。
でも楽しいのよね。構図を工夫し、色を選び、そこにあらわれる世界を見ることが。
何もする気になれないほど疲れているとき、ついついパソコンゲームをしてしまったりするよりは、どれだけ生産的かしれやしない。
だから、ぼちぼち続けます。本業のじゃまにならないように、セーブしつつ。いろんな物語を生み出し、またごらんになる皆さまにも、空想を広げていただけるアイテムともなればって感じで。
高齢者の認知症予防とか精神のリフレッシュとかに、塗り絵がいいっていうの聞いたような気がするけど、本当ですねえ! よく、よくわかります。
それに、こういうことしてると、いろんな名画とか映像とか見たりするのはもちろん、日常生活でも、人や物の動きに、あっ、そう動くのか、そう曲がるのかみたいに、表情や手足や風景のすべてにものすごく注目するようになってしまう。これも何だか、役にたちそう。大げさに言えば、見えていた世界が変わります。