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「水の王子」通信(93)

タカギノカミとタカミムスビって、実際にはほとんど登場しないんですけどねー。
たしか日本神話では、このあたりの神さまは男女の区別もなく姿かたちもさだかじゃないんじゃなかったかしらん。

めんどくさいから、この二人を右代表にしていますけど、タカマガハラにはこの他にも、大勢の長老みたいな存在がいるのだろうと感じています。具体的に地上やヨモツクニと関わり戦う存在として、そのときどきに、イザナギやアマテラスやワカヒコやキギスがリーダーになっていても、その背後の実権は彼らが握っているような気がする。ただしそれは強力なものではなく、雲のようにおぼろで薄い。

完璧に私のイメージですが、タカマガハラがもしも正義と善の国なら、その中心にあるのは、怠惰と無関心じゃないかと思うのです(笑)。地上やヨモツクニのことなど、彼らにとってあまり大したことじゃなくて、もっと高尚な、雲をつかむようなことの方に彼らの関心はあるのじゃないでしょうか。それが何なのかはよくわかりませんが、そういう空虚さや非現実さがタカマガハラの特徴と私には思えるのです。

しょうーもないイメージで言うと、私の中での彼らのイメージは、芥川賞の選考委員のような感じでしょうか。芥川賞の選考委員がそうだというのではありませんが、彼らはどことなく、めんどくさがりやで、冷たくて、ものうくて、無責任です。無欲だし、執着もなく、油断するとひとり残らず虚空に消えてしまいそうなところもあります。多分、私の中の神さまのイメージってそういうものなのかもしれません。

この透明さととらえどころのなさは、どこかヒルコにも似ているし、まるで反対のようなマガツミたちとも、どこかで共通しています。悪魔とかヨモツクニとかいう存在は、常に熱いし感情豊かでエネルギッシュです。タカマがハラの中枢に、そんな熱っぽさはありません。湿っぽさもありません。それもまた、私の理想でもあるのでしょう。

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カツジ猫