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「水の王子」通信(99)

前にも書いたように、私はこういうイラストって、ネットで画像や写真を見ては、イメージが近いものを探して適当に模写しています。それが下手だから、もとの絵や画像とかけはなれて似ても似つかなくなって、おかげで私のオリジナルになるという、ありがたい展開(笑)。

このオオヤマツミもどこの何を参考にしたのか、もう自分でもわからない。ちょっとカッコよすぎた気もしますが、でもこんなもんかという感じもあります。

もともとの日本神話では、オオヤマツミはたしかナカツクニにいて、コノハナサクヤとイワナガヒメの父だったんじゃなかったっけ。そして、タカマガハラから来たニニギが、二人の娘と結婚しないで、イワナガヒメを返してコノハナサクヤとだけ結婚したので、以後の天皇家は華やかに栄えるけど永遠の生命は得られなくなったということをニニギに告げる神ですよね。もちろんナキサワメと夫婦なんかじゃありません。

だけど私の物語では、彼はサクヤたちとは関係なく、ナキサワメと夫婦で二人でハヤオを育てています。一応仕事はするし、威厳もあるけど、年中寝ていて、めったに目をさまさない。オオクニヌシがそれを聞いてうらやましがったように、男性というか人間にとってひとつの理想かもしれません。保守的だけど愚かじゃないし、実は自然を操作する、すごい力を持っている。

ナキサワメとオオヤマツミとハヤオの暮らしは、私には楽しそうに見えます。退屈だし、高邁な理想や戦いや、陶酔するような美はないけど、激しい情熱も愛情もないけど、悪くないなあって気がします。私の思い出の中の、いばっていたけど人のいい祖父や、ひっそり生きていた祖母の面影が、この夫婦もどきの二人の姿には反映されているのかもしれません。ゆらがなく、いつもどこかにただよっている、私の原風景として。

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カツジ猫