あと三つ?(水の王子覚書2)
さて、多分書かないだろうと思いつつ、ふらふらもわもわ頭の中で、空想や構想がうごめいている、あと三つの短編というのはですねえ(笑)。
どうせ、全十二巻の中で解決してない問題はいっぱいあるのですが、ひとつはコトシロヌシたち若者がずっと気にしていた、「山がなくなっちゃったけど、地震と津波が来たらどうする?」って課題なんですよね。
何の解決法も思いついてないままなんですけど、能登半島の地震だけじゃなく、このところずっとの災害を見聞きしてると、小説や空想ってやっぱり現実逃避でもあるから、ファンタジー文学なのをいいことに、とんでもない妄想が次々生まれてきてしまう。ついついそれをまとめたくなる。タイトル「沖も」は多分これになるのかな。
私はなぜか、ナカツクニの村の破滅や終焉もよく空想していたんですよ。それこそ津波とか侵略とか内乱とか、その他もろもろ。それぞれがどうやって死ぬのかとか(笑)。いい趣味じゃないんですけど、これってけっこうはまるのよね。一時はほんとにこれでラストになっちゃったらどうしようかと心配になるほど、考えれば考えるほど楽しかったです。
もう今はそれは全然ないんですけど、ただひょっと、たとえば現代に、村のあとはもう何も残ってなくて、湖だけがある、って風景は、ちょくちょく考えます。そこそこに幸せな気持ちで。すべてはいつかは消えてなくなる、あとかたもなくなる、誰も知らなくなる、その清々しさみたいなものを。言っちゃ何ですが、もう完全にそれは私だけのものになる、みたいな。「湖よ」ってタイトルが残っているのは、そう考えるとちょっと危ないですよね。くくく。
「川と」はそういうのに比べると、別に何でもなく、ハヤオとヒルコが気軽に二人で旅して回ってる間のエピソードみたいなもんなんですけどね。まだ何ひとつ構想もないし。
ただほら、ラストに近くタカヒコネがいらんことを言うもんだから(笑)、フヌヅヌとオミヅヌについての何だかしょうもない話を、このタイトルでひとつでっちあげたくなるじゃありませんか。
この二人、ほんとにつまらない、面白くない人たちのはずなんですね。でも何だかこうなったら、そういう、実に何の魅力もない、にせものの、すっからかんの人たちを主人公にした話も、ちょっと書いてみたくなったりするじゃありませんか。とことんキャラの立たない人たちの物語。
その三つの中短編の分量がよければ、出版時の本の厚さもちょうどよくなるかもしれないしなあ、とか、つい思ってしまうわけ。
ぶるぶるぶる。そんな誘惑は打ち切って、前進しなければ。
「山が」「空へ」の合冊本は校了しました。遅くとも2月の中頃までにはAmazonで販売できると思います。いくらになるやら恐いけど、皆さま買って下さいね!
「畑より」「町で」「丘なのに」は現在最終原稿のファイルをチェック中。この作業も月末までには終わりたい!