ガラスとお金と文字(水の王子覚書3)
どーせファンタジー文学だし、どーせとことん時代考証無視だし、古代にあり得ないはずのものが次々登場するのなんか、はなから気にしてないわけですが、それでもついつい、遠慮して、ぼやかして、ごまかしていたのが、「水の王子」の世界に、お金というか貨幣経済と、文字の使用と、ガラス窓が登場させられないということでした。それを回避しようと思うと、ますます不要な説明や描写が増えて、読みにくくなるのも避けたいし。
お金については、基本的には物々交換でのりきっていたのですが、最後に近く、ヤガミヒメのいる沼から、怪しげな氷がとれて、これが宝石や貨幣に使われそうになっていることをちらと書いて、何となくのりきりましょうかと。そして、この氷がどうかすると溶けてしまう危うさがあるのは、まあ株みたいな要素も持ってるってことでして。
文字については持っていない文化的に高い民族だってあるのだから、あまり気にしてなかったんですが、何しろメモや伝言も手紙も渡せないのは、時々困る。
まったくそのための設定だってことはなく、ひたすら偶然のたまものですが、クエビコとフカブチのおかげで、ひょんなことから、文字めいたものを使う集団が登場してくれたのは、なかなかに助かりました。
ガラス窓は、もっと予定も何もしていなかった突然の偶然で、あれがあれしてガラス窓になっちゃったのには、書いてて自分で笑ったし、最高の展開ではありました。
ただし、それがもう、ラストぎりぎりだったのは、ちょっともったいなかったかもなあ。もう少し、活躍させてやりたかったよ。