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あー、びっくりした!(水の王子覚書12)

まったく、何ということだ。
 今朝、ぼんやりと机の上を片づけていたら、いきなりもう、「沖と」の冒頭が書きたくてしかたがなくなった。ノートも紙もボールペンも、外出用のバッグに突っこんでいて、部屋の反対側にしかない。十歩も歩けば行ける距離だが、尾籠な話ですまないが、トイレと同様、そんなことしているひまがない。電話用のメモ用紙をつかんで、鉛筆で走り書きして、あっという間に第一章を書き上げた。

しょうがないから、ブログにアップ。新連載の開始である。その後、ひきつづきつるつると第二章も気づけば出来てた。

ヤバいよこんなの。他の仕事は山ほど目白押しだし、出したい手紙もたまっているし。こんな調子で書いて行ったら、年末年始と同様に強行軍で体調を崩し、それこそ命と引き換えになる。研究だって創作だって私はそんなことで、未来や他人や死後のために、自分を犠牲にする気はないのだ。
 よく考えて、慎重にふるまおう。情熱と人生を秤にかけつつ、じわっと前進しなければ。

ネットでは、作品をテレビドラマ化されて、イメージが壊されたのに苦しんで自殺したらしい漫画作家のことが話題になっている。そのかたの作品も読んでないし、ドラマも見ていないから私には何も言えないが、「極主夫道」がドラマ化されたとき、基本的な要素となる設定が、あまりにいろいろ平気で踏みにじられていたのに唖然とした記憶があるので、それがどこまで原因かはわからないが、見当違いな脚色をされて、死にたくなる気持ちはよくわかる。

そう言えば、「水の王子」を書きはじめた、かれこれ五十年ばかりも前、三十代の終わりごろ、私はたしかノートに、「この小説を映画やドラマにするのなら、すべての役にまっさらの新人俳優ばかりを使い、撮影が終わったら、全員殺してしまうことを条件にしてしか許可しない」と書いたっけ。今さらながらあらためて、昔の自分のものすごさに敬服するよ、つっくづく。

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カツジ猫