ファンって優しい
外出の予定があったのだが、あまりの暑さに中止して家にこもった。何しろこの夏の最大目標は「無事に生き延びる」ことだと思っているのでしかたがない。夕方になって少しは風も出たので水まきをして、テレビでプロ野球の天王山というか、日ハムとホークスの試合を見ている。馬原さんの解説がきびきび歯切れよくて気持ちがいい。
オールスターの感想も書こうと思っている内に時間がたってしまった。いろいろ面白かったのだが、印象に残っているのは二つかな。一つは選手にマイクをつけるという新機軸で、賛否両論あったようだが、ホークスの周東選手が、守備のときに上がったライトへの大飛球を実況が「大きい!」と声をあげているのに、「あ、全然大丈夫」と言ってたことで、野手がどれだけ皆そうなのかは知らないが、それほどすぐにわかるものなのかと痛感した。もっとも周東選手は、ずっと以前の何かのインタビューで、「相手が警戒するから盗塁も難しくなったでしょう」と聞かれて、「そうですね。ピッチャーも他の打者が塁にいる時には見せる癖を、僕の時には見せないし」とか、しれっと答えてて、ということは、この選手は自分の時だけじゃなく、他の打者の時の投手の癖も全部チェックしてるのかと恐れ入った記憶があるので、普通の選手とはちがうのかもしれない。
もう一つは、選手たちのいつもは見られない交流の場面をカメラが集めてた中で、やはりホークスの柳町達選手をアナウンサーがつかまえて、日ハムの達孝太投手と「達」どうしで写真を撮りたいと言ったときのこと。柳町選手は「話が面白くないのが面白い」とファンから言われてるらしく、つまり常に無難で整った発言をするようで、これは生前(縁もゆかりもないのに)慶応びいきだった母がきっと「品がいいねえ」と目を細くしたにちがいない。で、その時も、いかにも穏やかで程よい自然な様子で「いいですよ、僕も撮りたかった」と応じ、「結婚したら『達達(たつたつる)』になるんですよね」などと、けっこうとんでもないことを言いながら、達投手を探して、ツーショットを撮って何か話して笑っていた。
それに対してのコメントで、達投手のファンが何人も柳町投手に感謝して、「人見知りで友だちもいなくて一人でいるんじゃないかと心配していたから、話しかけてくれて仲よくしてくれて、本当にありがたかった、うれしかった」と喜んでいた。そう言えば達投手は柳町選手たちに近づかれるまで、一人で立っていたような気もするが、まるで子どもを心配するお母さんみたいなそういうファンの感想が、たしかにそういうの気になるんだろうなあとほのぼのしみじみしてしまった。(画面右下のYouTubeをクリックしたら、コメントが読めます。)
ついでに思い出したのが、これも周東選手だが(この人の記事って多いのよ、特に最近)以前に楽天の小深田大翔選手と盗塁王をいっしょにとって、その表彰式のあとかなんかでホークスのスタッフが悪乗りして、二人にしょーもないゲームをさせてたことがある。ホークスはともかく楽天側や小深田選手は、こんなお遊びさせられて気を悪くしないかと気になってたが、これまたコメントで、小深田選手のファンが、「ちょっと内気で人見知りだから、周東選手と仲良くおしゃべりしていて友だちになっていてよかった」と喜んでいたので、本人もファンも優しいなと感じたことがある。そのことも思い出した。
女性ファンが増えたから、という人がいるならそうかもしれない、最近の若者はコミュニケーション能力を重視するから、と言うならそれもそうかもしれない。よくわからないが、ファンサイトをのぞいていると、昨今のファンはプレーの上手下手だけではなく、ちゃんと皆に好かれているのか、回りとうまくやっているのかと、けっこう心配している印象を受ける。選手はともかく、ファンはいろいろ大変だなあとも思ったりする。まあでも、監督にどう評価されるかどうかだけで、ひりひりしているチームよりは、こういう心配が中心になる方がいいのかもしれないが。
