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閑話休題

あまりにどうでもいいこと過ぎるが、忘れてしまうのもちょっともったいない気がするので書いておく。
日本シリーズの終わった直後に、ソフトバンクホークスの選手たちがまとめてインタビューを受けている番組を、見るともなしに見ていたら、司会者の女性がオフには何をするのが楽しみですかと聞いたのに対し、若手の二人が「二人でいっしょに服とか買いに行くのが楽しみ」と答えたので、え?と耳をそばだててしまった。

このホームページの「お買い物と文学」というコーナーで、アメリカ大リーグの二遊間の選手どうしの恋を描いた「二遊間の恋」というゲイ小説の、主人公二人がいっしょに服を買いに行く場面のことを私はとりあげていたからである。そのことについては、いずれまた、そちらのコーナーで追記するが、「若い男性二人がいっしょに服を買いに行く場面」というのは、今ではもう普通になっているのかとちょっと気になった。その後もつい二人のファンサイトやハッシュタグなどを見てチェックしているが、当人たちはむろんのこと、ファンや周囲も二人の関係を特におかしなものとして取り沙汰している様子もない。

だがそのことは別にして、そういうところでいろんなファンの声を見ていると、「いやなことがあって自殺しようと真剣に思っていたのに、この選手のファンになってから死ぬことなど考えなくなった」などと十代の女性が普通にさらっと書いたりしていて、その気持ちはわからなくもないだけに、ミーハー精神というものも貴重なものだと、つくづく感じる。

そして、そういうファンの声のいろいろを読み流していると、深夜にもかかわらず、声を出して大笑いしてしまうこともよくあって、ばかばかしいけど、いろいろと、こっちもどこかがリフレッシュする。

何しろ適当に読み流すだけだから、どこで見たのかもう二度と見つけられないものも多くて、以下の二つもそうなのだが、忘れてしまうのが惜しいからメモがわりに書いておく。
ひとつは、たしか多分、一番イケメンと思う選手は誰かという問いに皆が答えているスレッドで、対象はホークスだけか全球団かどっちか忘れたが、いろんな選手の名が上がる中で、ホークスのベテラン投手で、たしかに古典的な美貌と言ってもいい和田投手について、「もう近づくのは恐れ多いから、木陰からそっとのぞいて見ているだけで満足できる存在」と言っている、なんかもう、こっちが頭が下がりそうなコメント。

更に降参したのが、最近ホークスがバラエティなどに三人セットでよく登場させている、高橋礼、周東、甲斐野のルーキー三人(ちなみに先のいっしょに買い物に行くのが楽しみと言っていたのも、彼ら)について、「この三人の母になりたいと日夜夢見ている21歳の女性」と告白しているコメント。なお、三人のルーキーの年齢は23~24歳。
思わず行きつけのお店のスタッフに教えて、二人で大笑いしたけど、「いやでもたしかに三人のタイプがちがうから誰を恋人にしたいかとか選べないというなら、母になってまとめてそばにおいとくというのは非常に賢い選択かもしれない」と最後はいっしょに感心した。

ところで、ついでのついでに言うと、そういうファンの一人が、戦力外になった選手たちを特集した番組を見て悲しくなったらしく、「いつか自分のひいきの彼も、こうなってチームを去る日が来るのを見るかと思うと耐えられない」と嘆いていた。
ふと、いつかいっしょに遊びに行った学生が、家で飼っている猫をかわいがっていて、その一匹のエサが高齢猫用になったのがショックで泣けたと言っていたのを思い出して、そのときと同じように、同感しながらもかわいらしくて笑いそうになった。

若いって幸せよねー、まだいいんだよそんな悩みは。七十三歳の私なんかもう今の若手の選手が引退するのをこの目で見られるかどうかぎりぎり怪しいし、彼らが高齢者になって死ぬのなんか、確実に絶対に見るのは不可能なんですからね。それに気づいたときには、ほんとに何か不思議な気がした。どうあがいてもしょうがないことってあるんだって、妙にすっきり、あきらめもついたけどさ。

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カツジ猫