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発表資料⑲

今回ぬれぎぬについて「99.9‐刑事専門弁護士‐」というTBS系のテレビドラマを取り上げて考える。

 

○概要

本ドラマはTBS系のテレビドラマであり、日本の刑事事件における裁判有罪率の99.9%の、その残りの0.1%の無罪を解き明かす弁護士の話である。このドラマでは、無実の罪で逮捕・起訴された被告人の無罪を主人公の弁護士が解き明かしていく。一話完結のストーリーであるためいくつかの刑事事件が取り上げられているが、ここではシーズン1の第9話の内容と、回やシーズンをまたいで描かれた主人公の父親の事件に関して考えていく。

 

○内容

・シーズン1第9話

大手鉄道会社の会長が殺される事件が起こり、会長の三男の嫁である皐月が犯行を自供した。しかし、この事件の真犯人は長男の隆三であった。隆三が会長を殺害したことを知った皐月は自らが隆三の罪を被り、この家を守ると決め、自白をしたのであった。

 

ここから、皐月は自らが隆三の罪を被り、家族・家を守るという「覚悟のぬれぎぬ」が見られる。しかし、ここでこの話は終わりではなかったのである。皐月が罪を被り、いかにもぬれぎぬを着せられたように見えるこのシーンでは実は、亡くなった会長の財産を分捕ろうという皐月の計画が存在していたのである。自らが無実の罪を被り、弁護士が調査の中で自分の無実と、家族全員犯人を知りながら隠していたという事実にたどり着く。その事実が明るみに出たことにより、家族は遺産の相続権が失われ、残された血族である皐月のおなかの中の子どもに遺産がすべて行くという算段だったのだ。

これまで「ぬれぎぬ」は着せられた人はかわいそう、つらい、喜んで着る人はいない、そのようにおもっていた。しかし、今回のように「ぬれぎぬ」を着せられることを利用して、自分の利を得ようとすることも可能だったのだ。美しく思える「覚悟のぬれぎぬ」。その裏側にはもしかしたら「ぬれぎぬ」を着てまでも得たいものやその真の意図が隠されているのかもしれない。

 

・主人公の父親の事件

主人公(深山大翔)の父(深山大介)は、ドラマ内で26年前に発生した少女殺人事件でその犯人として逮捕されていた。しかし、実際には深山大介は殺人の罪を犯しておらず、現場の証拠物や監視カメラの映像から無実の罪をかぶせられていた。最終的には主人公の深山大翔自身がその謎を解き、真犯人までたどり着く。この事件の影響から、主人公は冤罪・汚名への心からの憎み、また事実を知ることへの執着などが見られる。

 

ここから、主人公の父親は「予期せぬぬれぎぬ」を着せられているということがわかる。この主人公は、父親の冤罪事件の最中に母親に置いて逃げられている。「ぬれぎぬ」は着せられた人その人自身だけでなく、周りの人たちも事実でない「殺人者の子ども・妻」などと周囲の人々から思われ「ぬれぎぬ」を着せられているといえるのではないだろうか。そのせいでいじめられたり噂を立てられたりし、主人公の母親も結局逃げるしかなかったのではないだろうか。このように、ひとつの「ぬれぎぬ」の事件でもその人の周りの人たちに生活でさえも変えてしまうことがある。

 

わたしたちも普段の生活の中で、「ぬれぎぬ」を着せたり着せられたりしている。そうして着せたり着せられたりする「ぬれぎぬ」が、その本人だけでなく周りの人々にも影響することや、その裏に隠されたものが存在するかもしれないということなども私たちは考える必要があるのではないだろうか。

 

○参考

https://www.tbs.co.jp/999tbs/2016/

https://www.tbs.co.jp/999tbs/

 

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カツジ猫