蛇の顔(3)
こうなればもう、毒を食らわば皿までで、映画「ジャングルブック」の1942年制作版をDVDで見た。
大昔の映画だから、それこそ蛇のカアと、もう一匹のコブラ以外は特撮もまったくないし、色彩も映像ももちろん古びているし、テンポもゆっくりだったりするが、なかなかよくできている。
動物との接触が映像としてはなかなか描けないので、モウグリが一時期、人間の村で暮らしていた時の話が中心になっている。原作のこの部分も面白かったので、それはそれで悪くない。
王宮の廃墟で宝物を守るコブラの話も、私は好きだったから、それを合体させていてくれたのも満足だ。原作では、この話ではバギイラが変に乗っちゃって探偵ごっこをしたがるんだよね。まあ、動物の狩りの本能と思えば矛盾でもない。
荒っぽい作りのようでいて、ジャングルと人間界の両方から追われる存在としての悩みとか、本質は案外こちらの方が、最新作よりとらえている。アニメや最新作の、変に密林の動物が団結しましたなんて甘い方向がないのが、とてもいい。象も変に神格化されないし。
カアの存在も、この映画が一番、原作に近い描き方だ。クールで、ほどよい協力をして、距離をおく。こんな描き方ができるのは、これがイギリス映画だからかもしれない。