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2020年集中講義発表資料⑦

(発表資料⑦です。受講生の皆さんは以下略。)

濡れ衣について思うこと

 

私は、日本四大死刑冤罪事件の一つである免田事件を取り上げて、濡れ衣について思うことを考察したいと思う。

 

事件の概要

祈祷師一家が襲われ、現金が盗まれた。免田栄が容疑者として逮捕され、死刑判決を受けるが再審の末無罪となった冤罪事件。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%8D%E7%94%B0%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

冤罪の内容

1948年12月30日、熊本県人吉市で祈祷師夫婦が殺害され、娘二人が重傷を負った。その際、現金が盗まれており、警察は強盗殺人という方向で捜査をしていた。そこに、たまたま別件逮捕された被害者である免田栄を強盗殺人で再逮捕した。

免田には事件発生当時アリバイがあったのにも関わらず、警察からの尋問と脅迫じみた自白強要、証拠品の廃棄等から犯人に仕立て上げられてしまった。

 

濡れ衣はやはり・・・

結局免田事件は、免田のアリバイが成立し、無罪判決が言い渡されたが、真犯人は捕まらず時効が成立した。冤罪が晴れてよかったと思うかもしれないが無罪判決にまで費やした時間は31年7カ月と途方もない時間が経過していた。多額の賠償金は支払われたとはいえ、免田さんの時間はもう戻ってこない。また、釈放後も、本当はやったのではという批判や、賠償金の使い道、出所後の行動などを監視されるなど他人への不信感はぬぐえないという。

やはり、現実世界での濡れ衣は良い印象を持つことは難しい。良い終わり方をしているのをあまり見ない気がするからだ。

 

講義を受けて

しかし、頭ごなしに濡れ衣は良くないという考え方はこの講義を受けて変化したと思う。

心中天網島の小春と治兵衛における、相手を思っての覚悟の濡れ衣、泣いた赤鬼のおける青鬼がかぶった覚悟の濡れ衣等、物語の展開を進めたり、人の感情を揺さぶる方法として非常に有効な物であるということを感じた。また、善良な一般市民が濡れ衣を着せられることにより、読み手により感情移入させやすくする点としてもすぐれているということを感じた。

現実で起きると不快だが、物語の中では一つの展開方法として成立し、濡れ衣を着せられた原因、理由等に人間の豊かな感情を垣間見れるという点から、どこかで濡れ衣を楽しんでいる私たちがいるのかもしれない。

そういう意味では濡れ衣は全部悪い!という考え方からは少し変わったと思う。

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カツジ猫