くるくる回る
前にもちょっと書きましたが、私と一緒にタマシイがこの家で暮らしていることにしている、歴代の猫たちと似た色のぬいぐるみをベッドの上に並べて、テレビを見るかっこうにしておきました。
生きているときと同じようなポーズで彼らが並んでテレビを見ている(生きた時代がちがうので、現実に並んだことはないですけど)後ろ姿を、ながめるのは悪くありませんでした。
ただ、テレビを消してしまうと、暗い画面を彼らが並んで見ていることになり、なんだかかわいそうなので、私は、テレビを消したあとでも、彼らが見上げて楽しめるものを、天井からつるしてやりたくなりました。

以前、二階の一隅に快適なコーナーをこさえたことがあり、今はそこは物置と化してしまってますが、その際に奮発して買った、黒いお魚のモビールがあったことを思い出して、ごみやがらくたをかきわけて、二階に上がり(上がれるようになっただけでも、ちょっと通路が確保できて進歩だわと自分をなぐさめながら)、モビールを外して持ってきました。さてここからが問題で、昔ならとっとと机と椅子を重ねてよじのぼって、ピンでとめておしまいなのですが、今や足が弱くなって生まれたばっかの子馬みたいに、ぶるぶる震えるのですから、椅子に登って作業なんかしたら、たちまち落っこちて、首か腰でも折りかねない。
何か方法がありそうなものと、片づけの合間に天井をにらんであれこれ考えましたが、本当に、昔はあっさり手の届いた天井が、今や天の川か宇宙のかなたと変わらない遠さ。まあ、その内にお客さんでも来た時に頼もうと思いながら、毎晩天をあおいでいました。
たまたま今日、換気扇の掃除を頼んだ業者の若い人が見積もりに来たとき、頼んでみたら、世にもあっさり椅子に上がって画鋲でとめてくれました。モビールはものすごく軽いので、多分これで当分は行けそうです。万が一にも落っこちたら、またどなたかの手を借りよう。それも老後の甲斐性で、獲得しとく能力だよね。
見上げるたびに思っていたのですが、ここはエアコンの前なので、さぞよく魚が泳ぐだろうと期待していました。それは予想以上で、みごとにくるくる泳ぎまくって、家の中を陽気にしてくれます。真ん中に、エサらしい赤いミミズみたいなのがくっついてるのも、しゃれてます。
何だか家にも身体にも活気がみちたようで、その分仕事が大いに前進したかのような錯覚にとらわれてるのが、我ながらヤバいです。猫のぬいぐるみたちと、魚が泳ぐのを楽しみながら、せいぜい仕事のスピードを上げないと。



