断捨離新世紀(21)国際交流
海外旅行なんて三回ぐらいしか行ったことないんだけど、その内の一つ、叔母夫婦のお伴でニュージーランドに行ったとき、変なカエルののぬいぐるみがあり、すごく単純な作りなのに、まあ確かにカエルにみえるのが面白くて、数匹買った。ペーパーウェイトがわりにちょうどよくって重宝するので、数匹とも愛用して大事にしていた。その割に今手もとに一匹しか見当たらないが、他のもどこかに全部きちんと無事にいるはずだ。
ニュー~ランドは前にも書いたように変なヘビのおもちゃもあって、これもその類かと勝手に解釈していたが、さっきつけっぱなしのラベルをひっくり返したら、メイド・イン・イングランドとあって、英国から来たものらしい。
なぜ突然そんなことを言い出したかと言うと、いつも行くスーパーの広場で、よく短期間の小規模な物産展みたいなことをしていて、少し前から開催している民芸品風の売り場で、古布風のお洒落で高価そうなバッグなどの間に、これとそっくりの構造のカエルが何匹もおいてあったからだ。あまりにもそっくりの構造と、まるでそぐわない周囲の品物とに、目を疑ってしばらくながめてしまった。
五百円とか千五百円とかで、買えない値段でもなかったから、ちょっと連れて帰ろうかと思ったが、ものを増やしたくはないから、思いとどまった。しかし、やっぱり気になって、まだ物産展がたたまれてなかったら買ってみようと思いつつ、今朝出かけたら、果たしてもう店がなく、がっかりしたりほっとしたりしながら、角を曲がったら私が場所をまちがえていただけらしく、まだちゃんと売り場はあって、カエルもいた。
正札がついてないのも多いので、ものかげのレジにいた、品のいいおじさんに買えるのですかとたずねたら、はいそうですと言って、いくつか見繕ってくれた。どこで作ったものですかと気になって聞いたら、わが板坂家のルーツの長崎にある店で作っているそうで、しかも私の故郷の大分の宇佐にもいらしたことがあるそうで、妙な縁など感じてしまって、この金がなくて、ものを減らそうと必死の時なのに、大小四匹買ってしまった私は、ほんとにバカとしか言いようがない。こんなの、気にいる人なんて、そうそうはいないだろうから、人にあげるわけにも行かないし。
でも、こういう背徳行為をすると私は妙に元気になるので、帰ってから、手持ちのニュー~ランドか英国出身だかのカエルと、向き合わせて会議をさせたり重ね合わせたりして遊んだ。いや、言われなくてもわかっています。アホですね。
何十年もたつのに、ニュージーランドカエルは、そんなに汚れてもいたんでもいない。長崎カエルはビーズか何かのつめものがちょっと少なめで、その分くにゃくにゃしている。
一番気になった、このデザインはどこから伝わったのですか、よくあるのですか、ということは、聞きたかったが、つい遠慮して聞けなかった。
もしかして、私が知らないだけで、死ぬほどよくあるデザインだったらどうしようと、おそるおそるネットで検索してみたら、カエルのぬいぐるみって、もうげんなりするほど多いのだが、この手のものは見つからなかった。
ということは、どうやって伝わったのかなあ。特許をとってるわけでもないだろうし、デザインをパクったとか問題になることはないだろうけど、珍しいのはたしかだし、だんだんまた気になって来た。
しかしともあれ、こうやって、国際交流ができたのは、愉快なことにはちがいない。ということにしておこう。