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「あ、びっくりしたー」が大嫌い

ねぼすけのカツジ猫がベッドにいる間に、こいのぼりをとっとと片づけてしまったのですが、今日(昨日か)車で走ったら、まだあちこちで、大きな立派なこいのぼりが風にのって泳いでいました。早まったかなあ。
 
そう言えば母の老人ホームでも、例のでかいこいのぼりが、まだつるしてありました。しかも、前より高い所から綱を張り直したらしく、しっぽもちゃんと地面にぞろびかなくなって、けっこう泳いでいました。
老人ホームには新しい方が入居されたようです。ここには、私とあまり年が変わらないんじゃないかと思うぐらいの若々しい女性が、お洒落なガウンを着てロビーでコーヒーを飲んでいたりして、うらやましかったりするのですが、今度の方はわりと口やかましい男性で、しょっちゅうヘルパーさんを呼びつけては怒っています。もしかして、偉い方で周囲にかしづかれていたのかな。私が母のところから帰りがけに大きな声で呼びとめられて、ヘルパーさんから「よその方ですよ」と言われたら、あれまというように罪のない顔で笑われました。
 
母は、この方がよくどなるので、敬遠していたようですが、「今日は同じ椅子に別の人が座っていたから、話しかけてみたら、あなたの同級生のお祖父さんで、いろいろ話がはずんだ」と言うので、あとでヘルパーさんに確かめてみたら、同じ人を別人と思い、もちろん私の同級生うんぬんは勝手な思い込みで、二重にまちがっているのですが、二人で話がはずんでいたようです。すごい世界だわ(笑)。
 
そんなこんなでヘルパーさんたちは忙しそうです。でも、にこにこと天使を通り越して神のように応対しておられて、母は「えらいよー、ほんとに」と感心することしきりです。
ヘルパーさんの一人は、こそっと私に「ほんとは私、7時で終わりなんですけどね。夜勤の人が気の毒で残ってるんですよ」と教えました。私は最初から、ここの施設のこういうちょっとユルいところが、とても好きなのですが、しかし、皆さん大丈夫なのかなと、ちょっと心配でもあります。
 
ヘルパーさんに限ったこっちゃありませんが、私が近年大嫌いになった、人が言うことばの一つに「あ、びっくりしたー」があります。
これ、主に、母が自宅にいたころ、訪問介護して下さっていたいろんな施設のヘルパーさんとつきあう中で味わったことなんですが、家の中で私と出会いがしらに、「あ、びっくりしたー」と言う人って、けっこう多いんですよ。ゆうちゃ何ですが、あんまりプロ意識のない人に限ってよく、こう言ってた。
 
ヘルパーさんやお手伝いさんに限らず、いろんな場所で人とぶつかりそうになって、こう口走るのって、私にはものすごい相手への攻撃と映ります。
「え、おまえなんか、ここにいちゃいかんだろ。何でいるんだよ。ここは私の縄張りだよ。私しかいないと思ってる場所に誰か他の人がいるなんて、あー、驚いた。で、おまえ何でここにいるんだよ?」と言ってるとしか思えない。
本当にその人のエリアで縄張りなのだったらまだしも、他人の家で、私の家で、それを言うのって、何もわかってない人だなあと、こっちもとっさに思いました。果たして、と言いたいぐらい、そういう人たちは、仕事の上での自分の立場について、いろんな勘違いをして私と母を困らせました。
 
教えたるのも業腹ですが、普通そんなときに口をついて出るのは、「あっ、すみません、失礼しました」みたいな言葉でしょうが。「いてはいけない私がいて、驚かせ申し上げてすみません」みたいな。私は自分のエリアでもオフィスでも縄張りでも、一応はそう言いますよ。そんなもんでしょ、世の中って。常識のないことでは人後に落ちない私が言うのも何だけど。
 
だいたい、さらにからんじゃうと、それって、自分の無能を暴露した弱音で甘えだよね。仕事の場でドラゴンに会おうと大ヘビに会おうと、驚いちゃいかんだろ。「ラスト・スタンド」の保安官は、町に凶悪脱走犯が来たとき、「あ、びっくりしたー」なぞと、ふぬけたことは言わん。ちゃんと自分の仕事をする人は、何があっても誰と会っても、びっくりなんかはしないのです。
 
もちろん、母が今いる施設ではヘルパーさんからも職員からも、こんな言葉は聞いたことがありません。そんなものすごいプロ集団という感じではなくて、むしろ普通ののんびりした市民(笑)のような方たちなんですが、心がけだか方針だか、施設の何かが、しっかり安定してるんでしょう。ちょこちょこ言いたいこともむろんありますが、そんなの十分おつりが来るほど、この施設のこういうところは信頼できます。あんまり考えないで、カンで選んだんですが、正解だったと思っています。
 
お月さまはだいぶ太って来ました。朝は毎日、どこかの山からやってきたのか、うぐいすがいい声で鳴きます。このうぐいすは声がよくて節回しも上手です。定番のほーほけきょはもちろん、ぴっちょっけぴっちょっけと鳴く「谷渡り」もうまいのですけど、その初めにまず長くぴーひゅるるるると長くのばして鳴く時の声のいいこと、ほれぼれします。
しかし、この辺、ノラ猫も飼い猫も多いのよね。そろそろヘビも冬眠からさめてるだろうし。天寿をまっとうしてくれるよう祈ってます。 

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カツジ猫