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「アンダークラス」まだ途中だけど

私が世界遺産という世界遺産が皆大嫌いになりそうな一因の、奄美の野猫が大量殺処分されそうなのを何とかしようという署名にご協力を。ほんとに、よその何とも知れない機関からえらそうにお墨付きもらうのに、大金はたいて接待して、町やら島やら作り変えて、女人禁制大公認して、野生動物大量に殺して、いったい何が面白いんだか。だいたいレッテルはられてランクつけられて、快感感じる体質って、私に言わせりゃただのマゾとしか思えんのですが。そんなに、よく知りもしない他人様に認めてもらわなきゃ、わが町、わが国、わが能力に自信や確信や存在理由が持てないんですか。みじめっぽすぎて涙が出る。それをいいことに、えらそうに人を評価してうまい汁吸ってる組織や団体にもへどが出る。えーかげんにだまされるのはやめましょう。

もともと世界遺産って、戦争やなんかで人知れず破壊されてしまう文化遺産を、認知してもらって守ろうとするためにはじまったんじゃなかったっけ。だったら、それを、やることない(ほんとはやらなきゃならないことがいっぱいある)自治体の町おこしに使うことが、そもそも冒涜でしょうよ。村おこしなら盆踊りか桜まつりでもしとけ。本当に趣旨に賛同するなら、戦争で破壊されそうな文化遺産に寄付でも送っとくがいい。

しばらく、たまった本を読みまくってたら、どれも面白くて、まだどれも読みおえてないお粗末(笑)。さしあたり、ちくま新書の「アンダークラス」がどきどきするぐらい面白い。もっとも、他の人は、悪い本じゃないけど、そこまでどこがわくわくするんだと言うかもしれない。

このホームページで、皆さんに読んでほしいコーナーのひとつに「川っぷちの小屋」に入ってる「ラフな格差論」があるんですけど、中でも「塀の中の幸福」とか「その判定は信ずるに足るか」とかを書いていて、いつもぼんやり迷ってたのが、いやー、恵まれている人が、そうでない人のために何かをする、ってモラル、昔は絶対普通にあって、私もそれで悩まされたけど、最近では逆にそれが絶滅しかけてて、「恵まれてて何が悪い」ってそれもすごく低次元の恵まれ方でエリート意識発揮するのが普通になってて、これはこれで超気持ち悪く、どこからいつからそうなったんだって思ってたんですよね。

「アンダークラス」まだ途中までしか読んでないけど、最初に書かれているのが、この私の疑問にかゆいとこまで手が届く感じで説明してくれている。世界のいろんな学者が、あれこれじわじわ、「救うにあたいしない貧困層」という概念やイメージを作り上げて、恐いのは私の見る限り、特に資本家階級や富裕層の走狗と化したわけでもなく、それなりに無意識に学問的に、そういう存在を作り上げちゃったこと、それを社会に認知させて行ったことが、手にとるようによくわかる。

わー、人を踏みにじって、苦しんでる人を無視して、はい上がろう、自分だけ幸福になろう、それで社会も国も栄える、って美学というか汚学というか幻想というか妄想というかは、一朝一夕になんかじゃなく、長い時間かかって、ワインみたいに、「貴腐」の「貴」の字がない「卑腐」みたいに熟成醸成されてきたんだなあって、ひしひしとわかってしまった。

この本の後半は、多分、日本の実例なんかをたくさんあげて、それじゃやばいよ、国としても、ということを読者にわかるように説得してくれるんだろう。そこを読むのも楽しみだけど、もっと単純に考えても、そういう「苦しんでる人、貧しい人をほっといて、富裕層を大事にしとけば、全体としてなんとかなる」って考えが根本的におかしいぐらい、それこそ、日常感覚の体感的に、わかるよね。

どこの世界に、大腸に腫瘍があるから心臓を強化する薬飲みましょうとか、肝臓がいかれてるから胃のためにいいものを食べましょうとか、膝の調子が悪いから補聴器つけて耳の状態を改善しましょうとか思う人間や医者がいるものか。外傷であれ内患であれ、病巣や弱点があれば、何をおいてもまずそこを治療するでしょ。少なくとも最低でも、そこを放置して他をケアして厚遇すれば健康になれるなんて、誰だって思うわけない。

はたまた、家の土台が腐ってるのに、飾り窓をきれいにしようとか、シロアリがついてるのに庭に花を植えましょうとか、悪徳リフォーム業者でもなきゃしないよね、絶対に。

あー、でもそう言えば、昔、勤務先でも、一番問題抱えてる部分を放置して、周囲や関係ないところから、そろそろじわじわ包囲して攻めていったら何とかなるかもしれないと、根拠なく時間つぶししてる人たちって大勢いたなあ。「普通こういうのって、一番やりにくいとこから手をつけませんか。少なくとも、そこをどうするかっていう展望ぐらいは決めてから動きませんか」って私よく言ってたっけが。あれは普通じゃなかったのか。

どんどん話が拡散するから、このへんにします。何か本を読み上げたらまたご報告します(笑)。

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カツジ猫