「ジェノサイド」が面白かった。
◇あいかわらず古典文学関係の資料や本を読む気になれず、ベッドにひっくりかえって関係ないものばかり読んでいる。おかげでカツジ猫は大喜びだ(笑)。
そうやって昨日一気に読んでしまった、中身も何も知らないで買った、文庫本二冊の「ジェノサイド」が、やたらと面白かった。最初にいきなりアメリカ大統領の朝から始まって、コンゴの奥地に謎の生命体が誕生して、これが人類の危機を招くという情報があるからと傭兵部隊が組織されるという、怪しげなB級映画みたいな展開になり、一方で日本のしがない大学教授のじいさんが死んで、その息子の大学院生が謎のノートパソコンを受け取る、という、しかもそれが作者は日本人なのに、全然不自然じゃなくコンゴもアメリカ大統領もCIAも描かれていて、このスケールと密度はどうだ、しかもこの途方もない設定は何だ、やたらめったら面白いけど、これで最後が拍子抜けの尻すぼみのずっこけの腰砕けに終わったりしたら許さんぞ、と内心で脅しをかけながら読んでいったら、おお、最後まで見事すぎるほど見事な着地。堪能しました。
しかし、断片的には知っていたが、アフリカの現状と歴史は本当にひどい。一番ひどいのは私たちがほとんど何も知らされてはいないことだ。沖縄や福島の人たちのことを忘れて幸福になろう豊かになろうという発想は許してはならないが、それと同じくらいか、ひょっとしたらそれ以上に、こんな同じ人間の窮状や悲惨に目をそむけて生きている私のけしからなさを痛感する。
いろいろ納得できる情報や考え方も満載で、それがうまく生かされているのも見事だが、その一つで超バカな独裁者が、めちゃくちゃつまらん、ただの普通の人間ということを、良心的で有能な側近が理解して愕然とする場面には吹いた。きっと、まったく、その通りだ。ハンナ・アーレントがアイヒマンについて喝破したように、悪人は狂気でも怪物でもなく、ものすごくつまらん普通の人間であることが多い。
おかげで今朝は、何だか時の権力者に反抗して上に格子のはまった四角い穴に入れられて、上からばらばら土を落されて生き埋めにされる僧侶たちの一人になった夢を見た(笑)。
まあ、正夢にならないように気をつけよう。もちろん、そんな世の中にしないように、って意味だ。
◇昨日は少し暑かったので、カツジ猫はベッドに長くのびて、寝こけていました。
どのくらい熟睡しているかためそうと思って、はさみでそっとまた後脚の肉球の間に生えた毛が伸びて来ていたのを切ってみたら、まるで気づかず、むにゃむにゃ言って寝ていました。
前脚もためしてやろうかと思ったけれど、時間がないのでやめました。
◇あまりにも、はびこっていた、庭の金蓮花を大幅にひっちぎって、少なくしました。シナモンのお墓のそばの赤いカンナもまた咲きだして大きな花をつけています。
今朝は今から下の家の物置きのダンボールをゴミに出して、上の家にあった荷物を代わりに運び込む大仕事があります。涼しくなったし、せいぜい仕事にはげまないと。